- 2025/12/02 掲載
KDDI、人間の応対を学習し、再現するサポートAIエージェントを開発
従来回答精度が約20%にとどまっていた「複雑な問い合わせ」の応対精度を約90%まで向上
ビジネス+IT
この AI エージェントは、過去のスタッフによる「有効だった応対履歴」を解析し、応対の流れや文脈、判断過程などを構造化する。そこから、必要な追加情報を社内マニュアルや関連データベースから自律的に収集・ファクトチェックを行ったうえで、最適と思われる応対文を生成する方式を採用。この手法により、AI が誤った情報を生成しがちな「ハルシネーション」を抑制できるという。
一般的な手法である RAG(Retrieval-Augmented Generation)では、定型的な質問には高い精度を示すものの、複雑な問い合わせでは回答精度が約20%にとどまっていた。しかし、新たな AI エージェントではこの限界を超え、応対精度を約90%まで向上させたと報告されている。
導入先の au チャットサポート窓口では、これまで AIチャットボットが自動応対してきた問い合わせのうち、約 20% を占めていた「難易度の高い」ケースを対象に、この AI エージェントと人間スタッフを併用する仕組みを採用。AI が提案する応対文案をスタッフがチェック・補正することで、応対業務の形態を変える狙いがある。
この結果、顧客一人あたりの応対時間を従来比で約70%削減できる見込みだ。さらに、スタッフ間で応対品質にばらつきがあった点についても、応対の均一化・安定化が期待される。
また、この AI エージェントは汎用パッケージ化されており、他部署・他業種への展開が容易だとされ、社内でのユースケース拡大、グループ会社への横展開、さらに将来的な商用提供も視野に入れている。
背景には、近年の問い合わせ内容の多様化と高度化がある。auチャットサポートでは、月間で約16万件の人手による応対が発生しており、スタッフの経験やスキルによって応対品質や効率にばらつきが出る点が課題だった。今回の AI による支援は、このような課題を解決する狙いを持つ。
このように、KDDI の新たな AI エージェントは「過去の人間応対を学び、マニュアルや応対履歴を活用して誤情報を出さずに高精度な応答を実現」する点で従来のチャットボットと一線を画しており、国内企業のカスタマーサポートにおける AI 活用の一歩になるとみられている。
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