- 2021/01/06 掲載
協和キリン、ADPKD患者を対象としたバルドキソロンメチルの第3相臨床試験を開始
本試験は常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)(注2)患者さんを対象とした国際多施設共同ランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験で、RTA 402もしくはプラセボを1日1回反復経口投与し、本剤の有効性および安全性を評価します。また本試験は2019年5月29日からリアタ社が開始し、既に北米、欧州、オセアニアにて進められているものですが、今回日本においても試験を開始し、協和キリンは日本における治験国内管理人(注3)として参加します。
協和キリンは2009年12月24日に、リアタ社との間で、本剤の日本、中国、台湾、韓国及び東南アジア諸国における腎疾患などを対象とした独占的開発・販売権を取得するライセンス契約を締結しております。
協和キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。
【FALCON試験の概要】
対象:常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)患者
有効性主要評価項目:4週間の休薬期間後である52週時(又は治療1年目の投与中止4週後)におけるeGFR(注4)のベースラインからの変化量
重要な副次評価項目:4週間の休薬期間後である104週時(又は治療2年目の投与中止4週後)におけるeGFRのベースラインからの変化量
目標被験者数:300名
実施地域:北米、欧州、オセアニア、日本
試験期間:2023年8月まで(予定)
注1.バルドキソロンメチル
体内のストレス防御反応において中心的な役割を果たす転写因子Nrf2を活性化する低分子化合物です。広範な抗酸化及び抗炎症作用により、腎機能を改善させると考えられます。実際に、国内で実施された第2相臨床試験(TSUBAKI試験)では、バルドキソロンメチルがイヌリンクリアランス法により測定したGFR(腎機能)を明確に改善することが示されました。現在、糖尿病性腎臓病を対象とした国内第3相試験を実施中です。またReata社によるアルポート症候群を対象とする国際共同第2/3相臨床試験(CARDINAL試験)の結果に基づき、協和キリンが国内製造販売承認申請の準備を進めています。
注2.常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)
両側の腎臓に多数の嚢胞が進行性に発生・増大し、腎臓以外にも肝嚢胞などを合併する最も頻度の高い遺伝性嚢胞性腎疾患です。60歳代までに約半数の患者さんが末期腎不全に至るとされており、日本では指定難病として認定されています。ADPKDは他の慢性腎臓病と同様に、疾患の進行に酸化ストレスや炎症が関与すると考えられています。日本における患者数は約31000人と推定されています。
注3.治験国内管理人
日本国内に住所を保有しない海外の製薬企業が、日本において治験を実施する場合には、日本国内に住所を有する者の中から「治験国内管理人」を選定する必要があります。「治験国内管理人」は、治験依頼者である海外の製薬企業に代わって国内での治験に係る一切の業務に対する責任を負います。
注4.eGFR
Estimated glomerular filtration rate(推算糸球体ろ過量)の略。腎移植ドナーなど正確な腎機能評価が必要な場合にはGFR測定のgold standardであるイヌリンクリアランス法を実施しますが、日常臨床では血清クレアチニン値の測定結果を基に算出されるeGFRが用いられます。
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