- 2021/06/15 掲載
東北大、磁力浮遊させる風洞実験により超低細長比円柱の空力特性を解明
・物体を磁力で浮遊させた状態で空気抵抗を正確に計測する実験技術を確立.
・これまで計測が不可能だった,非常に短い円柱の空気抵抗の計測に初めて成功.
・円柱を短くすると,空気抵抗は円板の空気抵抗に滑らかに収束することを示した.
・本技術は,脱炭素社会の実現に向けた輸送機器の性能向上や,宇宙機の帰還カプセルの設計に活用されることが期待出来る.
【概要】
物体の空気抵抗を正確に予測することは,脱炭素社会の実現に向けた輸送機器(自動車,航空機等)の高効率化に必要不可欠な基礎技術の一つです.東北大学流体科学研究所の大林茂教授の研究グループは,磁力支持天秤装置(1)を用いた風洞実験とシミュレーションに基づいて,これまで計測が困難だった超低細長比円柱(2)の空力特性を明らかにしました.これにより,流れに沿って置かれた円柱の空気抵抗は,円柱を短くしていくと円板の空気抵抗に滑らかに収束することを世界で初めて示しました.本成果は,輸送機器における空力設計の高度化や,はやぶさ等の帰還カプセルの空力特性の予測精度向上に繋がると期待されます.
本研究は,米国現地時間2021年5月27日に学術専門誌「Physical Review Fluids」にEditor's Suggestionの論文として掲載されました.
本研究は、科研費・基盤研究(A)(一般)2018~2020「非定常3次元渦流れの計測融合シミュレーション法の開発」の成果です。
【用語解説】
1 磁力支持天秤装置:磁気力で風洞模型を気流中に支持すると同時に,気流から受ける流体力を測定する装置.
2 超低細長比円柱:直径に対して長さが非常に短い円柱を意味し,本論文では直径に対して0.5以下の長さの円柱と定義.細長比が0の場合は円板となる.
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