• 2021/06/23 掲載

パナソニック、高セキュリティ通信サービスとビル運営管理システムのサービス実証開始

パナソニック

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 パナソニック株式会社(大阪府門真市、代表取締役社長:津賀 一宏)は、森ビル株式会社(東京都港区、代表取締役社長:辻 慎吾、以下、森ビル)およびイーヒルズ株式会社(東京都港区、代表取締役社長:森 浩生、以下、イーヒルズ)と共同で、5Gコアネットワーク(以下、5Gコア)と免許不要周波数帯を利用するプライベート4G(LTE)構内電話の規格であるsXGP(※1)基地局を活用した構内電話網と公衆LTE網による仮想専用ネットワークを構築し、ビルテナント企業や施設、さらに敷地外環境での新たなサービス開発を目的とした実証実験を開始しました。

 この仮想専用ネットワークでは、都心オフィスやサテライトオフィス、シェアオフィスなどを利用するビルテナント企業のユーザーが、働く場所を意識することなく、また、VPN接続設定など特別な操作を意識すること無く、いつでも何処でも安全に各テナント企業のイントラネットに直接接続することができるようになります。加えて、5Gコアに接続したsXGP基地局をビルのインフラとして整備し、5Gの機能であるスライシングを活用することで構内電話網の用途がさらに拡大し、例えばビル運営管理システムのための通信回線として利用することもできます。将来的にはビル単体を越えた敷地内での域内自動運転サポートも視野にいれ、sXGPでの効果と課題を抽出した後に、基地局の一部を免許局であるローカル5G基地局へと置き換え、高度化を図る実証も実施する予定です。

■背景と目的

 昨今のコロナ禍においては、自社オフィス・シェアオフィス・公共エリア・在宅・ワーケーションなど働く場所を限定せずに、社内での作業効率と情報セキュリティレベルを維持したまま業務を遂行できる安全・快適でコストパフォーマンスに優れた業務ネットワークが求められています。本実証実験では、こうした業務環境の変化に応えるビルテナント企業向けネットワークのあり方と、ビルの効率的なリモート管理が行えるネットワークのあり方を探り、その性能を磨き上げつつ、有用性、実用性、経済性を検証することを目的にした実証実験で、2021年4月から開始し同年12月まで実施します。実証期間終了後は、成果を踏まえ実運用への移行を予定しています。本実証実験で構築するネットワークは、国際的な携帯電話規格である4G LTE規格でありながら国内で免許不要無線機器として気軽に設置できるsXGP規格を用い、その設備をビルテナント企業間で共有しながらビルテナント企業のイントラネットに個別に接続でき、さらに多数の機器を安全確実にワイヤレス接続できます。これら機能を確認することで、ビルテナント企業へのサービス並びにビル管理業務を含めたビル業務のデジタルトランスフォーメーションの可能性を検証してまいります。

■特徴

 本実証実験で構築したネットワークは、安価で信頼のおける構内音声電話として長年親しまれ、災害時でも外部ネットワークの影響を受けることなく敷地内での通信を確保できるPHSの良さを継承しながら、従来のPHSの役割を高信頼な企業内IoTネットワークとして置き換えるものになります。これにより、多機能なスマートフォンやパーソナルコンピュータ、さらにはIoT機器が強固なセキュリティ管理のもとで安全確実に接続できるようになり、構内音声網と構内情報IP網が統合したネットワークとして機能するようになります。さらに、よりインタラクティブなCPS(※2)環境、ビルの高度なオートメーション、ビル付帯駐車場のオートバレーパーキング化(※3)など5Gが得意とするアプリケーションへの将来展開に対してもインフラ投資の継続性が担保できるよう、あらかじめ自社開発の5Gコアネットワーク上でsXGP基地局を稼働させ、将来は基地局を5Gにソフトウエアアップデートできるように工夫しています。このアーキテクチャを持つシステムは以下の特徴を持ちます。

1. 無線分散基地局(DU)と、中央基地局(CU)、ネットワークスイッチ、コアネットワークからなるノード間完全同期型5Gアーキテクチャで動作する4G sXGPシステムにより、SIMカード※4の属性ごとに完全に分離した(スライス)ネットワークを実現し、複数の企業のイントラネット接続の安全性、完全性を保つことができます。

2. 専用のWi-Fi 6無線アクセス機能をsXGP基地局内に搭載し、登録されたSIMカードが入った機器のみがWi-Fi 6を介した高速無線アクセスに接続できます※5。そのため、セキュリティが担保されたWEB会議システム等の大容量データは基地局内でイントラネット回線にではなく公衆インターネット回線に回避(ローカルブレイクアウト)することができ、イントラネットサーバーの物理的な負担と、回線コスト負担、並びに伝送遅延を軽減することができます。

3. ローカル5G※6の性能が必須なアプリケーションを利用するエリアでは、ローカル5G基地局への置き換えや、sXGP基地局をソフトウエアの書き換えで小容量ローカル5G基地局としてアップデート※7することができます。そのため、ハードウエアの買い替えや大規模な工事による大きな追加投資負担なく段階的にローカル5Gへ移行することができます。

4. 基地局装置内のコンピューティングリソースをIoTアプリケーション向けに利用できるエッジコンピューティング機能を有しています。そのため、大規模なサーバー設備やクラウド回線なしにビル管理機能などのユーザーIoTアプリケーションをビル内で完結して導入できるため、災害時に回線が孤立しても業務を継続することができます。

5. 初期導入コストを削減するために、既設配線の利用と、省配線の工夫として基地局設備間はイーサーネットケーブル1本の接続のみで高速通信バックホール機能と、電力供給機能、マスター基地局からの正確な同期信号供給機能を実現しています。

※1 sXGP:周波数1.9 GHzの免許不要帯を使ったコードレス電話システムで、第4世代移動通信システムの時分割多重方式であるTD-LTEと互換性のあるシステム。最大スループットは5 MHz帯域幅、2×2 MIMOで下り12 Mbps、上り4 Mbps程度。 免許不要のため、電波利用料がかからず低コストで利用することができる反面、PHSや家庭内コードレスホンと同じ周波数を使うため、基地局が他のシステムにより当該周波数が使われていないことを確認した場合にのみシステムを運用するキャリアセンス機能を搭載して周波数を共用する機能を持つ必要がある。

※2 CPS(Cyber Physical System):私たちが生活する物理的な実世界と、デジタルデータにより再現されたサイバー空間を融合することで、人が、その人が存在する場所と時間だけでは得ることのできなかった膨大な情報や経験に触れられるようになり、人の能力を拡大し従来不可能だった課題を克服できるようにすること。一方で、デジタルトランスフォーメーションは、モノやコト、所作のデジタル化により、サービスや、産業社会のあり方をも変更していく概念。

※3 運転者が自動車を建物のエントランスに停車後、自動車が駐車場まで自動で自走し駐車場に入るシステム。

※4 SIMカード:携帯電話システムで使われている加入者番号等が記録されたICカード。

※5 利用者識別・認証を行う仕組みとしてEAP-AKAを活用。

※6 ローカル5G:周波数28 GHz、4.7 GHz帯の、主に自己土地内での無線の産業利用を目的とした日本の周波数制度。利用できる第5世代移動通信システムは、Release 15として3GPPで定義されている仕様の中の時分割多重方式(TDD)。 100 HMzの帯域幅を利用でき、アレイアンテナを用いた実効輻射電力も大きいため、高速大容量、低遅延通信が可能で多くの産業での活用が期待されている。免許局のため、免許人による管理と、電波利用料の納付が必要なシステムであり一定の運用コスト負担を必要とする反面、自己土地内で周波数を占有した高品質な無線通信ができる。

※7 ローカル5G制度は無線免許局のため、実際には制度上の手続きが必要となります。

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