- 2021/08/05 掲載
科学技術振興機構など、AIモデルを用い1回の実験で新規プロトン伝導性電解質を発見
金属酸化物にプロトン伝導性を発現させるためには、構成元素の一部をアクセプター元素(注3)で置換し、酸素欠損欠陥δを生成、プロトン導入反応を誘起する必要がありますが、新規材料においてどのような元素を組み合わせればプロトン伝導が発現するのかわかっていません。材料を構成する元素の組み合わせは無限にあるため、新規プロトン伝導性電解質の開発は、従来、開発者の経験と勘に基づいて行われていました。
本研究グループは、アクセプター置換したペロブスカイト酸化物(ABB'O3-δ)(注4)を対象とし、これまでに見いだされたプロトン伝導性材料における構成元素の特徴やプロトン導入の物理化学的知見をAIモデルに学習させ、材料のプロトン濃度の温度依存性を予測させることで、未知材料 SrSn0.8Sc0.2O3-δがプロトン伝導性電解質であることをたった1回の実験で発見しました(図1)。
本研究は、JST 戦略的創造研究推進事業 CREST(JPMJCR18J3)、科学研究費補助金(JP15H02287、JP18H01694、JP16H02866、JP20H05884)、JST 戦略的創造研究推進事業さきがけ(JPMJPR16N6)の支援を受けました。
本研究成果は、日本時間 2021年8月4日(水)に米国化学会の国際学術誌「ACS Energy Letters」のオンライン速報版で公開されます。
・研究者からひとこと:
1981年にプロトン伝導性酸化物が発見されてから40年経ちましたが、プロトン伝導を示すペロブスカイトは100程度しか見つかっていません。本手法により、新規材料探索が大幅に加速されることを期待しています。
山崎仁丈教授
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