- 2021/10/19 掲載
東北大、スマートチェアでオフィスワーカーの腰痛悪化を予測可能に
〇日本人の10人に1人が腰痛に悩まされており、たとえ良い姿勢を保っていても長時間座っていると腰痛が悪化する場合がある。
〇荷重センサーを装着したオフィスチェア(スマートチェア)により、オフィスで働いている人の日々の腰痛悪化を高い精度で予測することが可能となった。
〇人工知能解析技術(AI)(注1)を用いた信号処理と深層学習(注2)により、座っているときの細かい体の動きの共通パターンを発見し、パターン消失日は高い確率で腰痛悪化が起こることを見出した。
【研究概要】
日本人の10人に1人が腰痛に悩まされています。たとえ正しい姿勢を保っていても長時間座っていると腰痛が悪化することがあります。腰痛の発生を予測できれば、回避するためのストレッチングやエクササイズなどの行動をとることが可能です。東北大学大学院医工学研究科の健康維持増進医工学分野 永富良一教授らのグループは、オフィスで働いている22名に荷重センサーを装着したオフィスチェア(スマートチェア)を実際に3ヶ月間使用してもらい、座っているときの荷重変化の信号をAI解析することにより、姿勢の固定化を防いでいる可能性がある細かい動きの共通パターンを発見し、そのパターンがみられないと、腰痛悪化が高確率で起こることを見出しました。本研究は、規則性に乏しい時系列生体信号からAIを用いて生理学的に意味のある事象(腰痛)の予測が可能であることを示した重要な報告です。ウェラブル機器など日常的にさりげなくセンシングできる生体信号の利用価値が飛躍的に高まることが期待されます。
本研究成果は、2021年9月14日にFrontiers in Physiology誌(電子版)に掲載されました。
注1. 人工知能解析技術(AI):人間の知識をベースに、ある問題を解決する方法をコンピュータ上で再現する技術。
注2. 深層学習(デープラーニング):4層以上の人工ニューラルネットワーク(神経細胞の機能をコンピュータ上でモデル化したもの)を用いた機械学習手法。
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