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  • 2021/11/02

ソフトバンク、「全固体電池用正極材料の開発」など三つの技術の実証に成功

ソフトバンク

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 ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、2021年6月に「ソフトバンク次世代電池Lab.( https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2021/20210315_02/)」を開設し、質量エネルギー密度(Wh/kg)が高く、軽くて容量が大きい次世代電池の開発を推進しています。このたび各共同研究先と「高質量エネルギー密度に向けた全固体電池用正極材料の開発」、「MI(マテリアルズ・インフォマティクス)による有機正極材料の容量予測モデルの開発」および「520Wh/kgセルの試作実証」に成功しました。

 特に全固体電池用正極材料の開発は、世界でもまだ例が少ないリチウム過剰系正極の実用化に向けた大きな一歩となり、高質量エネルギー密度が要求されるIoT機器などの既存のデバイスや、HAPS(High Altitude Platform Station、成層圏通信プラットフォーム)をはじめとする次世代通信システムなどで活用される次世代電池の開発を加速させると期待しています。

1. 高質量エネルギー密度に向けた全固体電池用正極材料の開発について

共同研究先:住友化学株式会社、東京工業大学 菅野 了次 教授

 通常、リチウムイオン電池は可燃性の液体電解質が使われているため、発火のリスクが高いと言われています。このたびソフトバンクが住友化学株式会社および東京工業大学と共同で開発に成功した正極は、電解質に安定性が高く、液体電解質に匹敵するイオン伝導度を持つLi10GePS12系固体電解質を、正極材料に高容量のリチウム過剰系正極活物質をそれぞれ採用することで、高い安定性と高容量化の両方を達成できる見込みが得られました。開発した正極活物質は250mAh/gを上回る高容量で、これは既存の高容量タイプの正極材料であるニッケル酸リチウム(NCA)や、三元系正極材料(NCM)などの容量(約220mAh/g)を大きく上回っています。今後HAPSなどの極度な環境にも対応できるバッテリーとしての活用が期待されています。

2. MIによる有機正極材料の性能モデルの開発

共同研究先:慶應義塾大学 緒明 佑哉 准教授

 現行のリチウムイオン電池の正極は、コバルトなどのレアメタルを多く含んでいます。これを軽元素のみから構成される有機材料に置き換えることができれば、軽量化(質量エネルギー密度の向上)やレアメタルフリーによるコスト削減、生産時の環境負荷が低くSDGs(持続可能な開発目標)に即した電池になるなどの効果が期待できることから、有機正極の高性能化や新規物質の探索は近年多くの注目を集めています。一方で、有機化合物の総数は10の60乗(1那由多=1兆の4乗)個ほど存在すると言われ、そこから電池材料に使用可能な化合物を絞り、全ての化合物の性能を検証することは非現実的です。そこで機械学習を用いた材料探索手法MI(マテリアルズ・インフォマティクス)が注目されていますが、学習や探索に必要なビッグデータ(元データ)が容易に入手できないことも少なくありません。また、正極材料は分子構造や材料特性以外にも考慮すべきパラメーターが膨大で、MIの適用は試みられていませんでした。

 今回、慶應義塾大学との共同研究では、MIと化学的考察を併用して重要度の高い記述子を絞り込む手法により、50個という少ない文献データから優れた外挿精度を持つ性能(電位・容量・エネルギー密度)予測モデルの構築に成功しました。このモデルを用いることで、1,000Wh/kgを超えると予測される、正極材料の候補となる化合物を数種類発見することにも成功しています。

3. 質量エネルギー密度520Wh/kgセルの試作実証

共同研究先:Enpower Greentech Inc.

 質量エネルギー密度520Wh/kgセルのリチウム金属電池の試作と実証に成功しました。質量エネルギー密度520Wh/kgとサイクル寿命100サイクル以上を同時達成した、世界初※の電池となります。この電池は、2021年3月15日にEnpower Greentech Inc.と共同発表した450Wh/kg級リチウム金属電池を進化させたもので、リチウム金属の界面制御技術と電解液技術を駆使して、電池の設計上、非活物質の使用比率を低減しつつも二次電池としての充放電安定性を維持しながら、質量エネルギー密度の限界を大幅に突破しました。

※2021年11月2日現在(Enpower Greentech Inc.調べ)

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