- 2022/03/17 掲載
焦点:FRB引き締め開始で市場は影響見極め、政策運営に不安の声も
リージェントアトランティックのアンディー・カピリン最高投資責任者(CIO)は「特にインフレ率が高いままなら、FRBは今年タカ派姿勢を強めていくだろう」と予想。株価水準が比較的低く高金利下でも堅調な業績が期待できるバリュー株と、金利上昇局面で有利な変動利付債の持ち高を増やしていると明らかにした。
今後予想される引き締めペースについて、2桁のインフレ率に大幅な利上げで対応したボルカー元FRB議長の政策運営になぞらえる向きもある。
しかし予想される利上げの道筋が明確で、政策引き締め、インフレ高進、不安定な商品(コモディティー)相場の「三重苦」にも耐えられるほど経済は強いと主張していることが一定の安心感をもたらしている。
インフラストラクチャー・キャピタル・アドバイザーズのポートフォリオマネジャー、ジェイ・ハットフィールド氏は「FRBが何をしようとしているかが市場の不安材料だったが、金利の方向性が明確になった」と話した。
しかしFRBの利上げとバランスシート縮小が経済の重しとなる可能性もある。
FSインベストメンツのチーフ市場ストラテジスト、トロイ・ゲイスキー氏は「FRBがバランスシートの縮小開始時期についてある種の不明瞭さを残したことは良いことだ」と指摘。「FRBがより積極的にバランスシートを縮小し始めた場合に、市場が機能し続けることができるかどうか懸念している」と語った。
<リスクを認識>
米国債市場では成長への懸念が明確になった。一部の短期債の利回りが長期債を上回り、投資家が将来の経済リスクを認識していることが示された。
2年債と10年債のイールドカーブはフラット化、5年債と30年債の利回り差は2018年10月以来の水準に縮小、5年債利回りは10年債を上回り20年3月以来の「逆イールド」となった。
ミーダー・インベストメント・マネジメントのジョー・ベルCIOは、フラット化が長期化したりイールドカーブ全体で逆イールドとなり始めたら懸念すべきだと指摘。
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのアクティブ債券部門グローバルヘッド、マシュー・ネスト氏は「FRBは(経済の)ソフトランディングであまり良い成績を残していない」と述べ、23年前半に成長率がマイナスになると予想した。
資産運用会社ヌビーンの債券戦略責任者トニー・ロドリゲス氏も「この2年間で学んだことは、FRBの経済予測は往々にして少々的外れであるということだ」と語った。
(David Randall, Davide Barbuscia and Saqib Iqbal Ahmed記者)
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