- 2022/03/29 掲載
損保ジャパン・日立など、保険引受業務における擬似量子コンピュータの実務利用を開始
今後、4社は、CMOSアニーリングを活用した損害保険業務のデジタルトランスフォーメーションを推進するとともに、各社の保有する多種多様なデータと技術の連携により、新たな社会価値を創造する協創活動を加速させていきます。
1.背景
近年、量子・疑似量子コンピュータ技術(※3)に対する国際的な注目が急速に高まっており、米国、欧州、中国を中心に、諸外国においては、将来の経済・社会に大きな変革をもたらす源泉あるいは革新技術として位置づけ、研究開発投資を大幅に拡充するとともに、開発拠点形成や人材育成などの戦略的な取組みが加速させています。日本においても、官民連携の検討体が複数発足するなど、国を挙げて社会実装に向けた取組みが推進されています。
2.今回の適用範囲
4社はこれまで保険引受業務へのCMOSアニーリングの活用可能性について検証(※4)を重ね、実業務への実装にこだわり、実務上の複雑な条件のモデル化とビジネス上の課題解決にフォーカスして検討を進めてきました。具体的には、SOMPOリスクの自然災害リスク定量化技術と日立のCMOSアニーリングの活用により、損保ジャパンがお客さまからお引き受けする自然災害リスクのポートフォリオに対して、損保ジャパンで保有すべきリスク、再保険など外部移転すべきリスク、外部移転時の条件(再保険条件)、実務上考慮が必要なその他条件などをモデル化し、取り得る膨大な組み合わせからリスクテイクと安定収益を両立する条件を求める手法を開発しました。さらに日立はCMOSアニーリングにおいて新たな技術革新を行い、損保ジャパンが実務レベルで必要とする大規模かつ複雑な損害保険ポートフォリオ最適化問題に対応できるようになりました(※5)。これにより、実務利用の目途が立ったことから、2022年4月から損害保険引受業務においてCMOSアニーリングの実務利用を開始することになりました。
※1 磁性体の性質を説明するために考案されたイジングモデルを用いて組合せ最適化問題を解くために日立が開発している新型コンピュータ。
※2 4社調べ。
※3 従来型コンピュータによる計算では解決が困難な問題に対応するために開発が進められている量子コンピュータ、 および量子コンピュータを疑似的に再現した技術。
※4 ニュースリリース(2020年1月8日発表)「半導体ベースの新型コンピュータを活用した損害保険ポートフォリオ最適化に関する実証実験を開始」
https://www.sompo-japan.co.jp/-/media/SJNK/files/news/2019/20200108_1.pdf?la=jaJP&force_isolation=true
※5 現行のCMOSアニーリングのスピン数では解けない大規模な問題(2200万スピン相当が必要)を、処理方式の高度化により、ハードウェアの増強なしに解くことに成功。これにより、現行の提供構成を変えることなく、より大規模な問題を解くことが可能となった。
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