- 2022/05/11 掲載
IBM、2025年に4,000量子ビット級のシステムを実現する計画を発表
IBM会長兼最高経営責任者(CEO)のアービンド・クリシュナ(Arvind Krishna)は、次のように述べています。「テクノロジーは今、デジタル・トランスフォーメーションが先導する競争優位の源泉となっています。IBMは、ハイブリッドクラウド、AI、コンサルティング・ソリューションに裏打ちされたイノベーションを提供することでお客様やパートナーの成功に貢献し、信頼を勝ち得ています。Thinkイベントでは、IBMが拡大するエコシステムとの共創を通じて、いかに企業や社会が現在直面している最も差し迫った課題に対する進展を遂げているのかをご紹介します」
Think 2022における主な発表は以下の通りです。
■量子コンピューティングの実用化および大規模化に向けたロードマップの拡張
IBMは、量子コンピューティングの実用化を目指すための新たなロードマップを公開し、2025年に4,000量子ビット級のシステムを実現する計画を発表しました。新しいロードマップでは、量子ビット数が数十万に達するような量子システムを実現するための、新しいモジュール式のアーキテクチャーおよびネットワークを計画しています。実用的な量子コンピューティングに求められるスピードと品質でこれらのシステムを実現できるよう、IBMは、量子リソースと古典リソースにワークロードを分散し、インフラの課題を抽象化したインテリジェントなソフトウェアを構築する計画です。
・ハードウェア面では、新しいクラスのモジュール化およびネットワーク化された量子プロセッサーを実現するための、3つの新しいスケーラブル・アーキテクチャーを提供する予定です。これらの技術をソフトウェアのイノベーションと組み合わせることで、IBMの2025年の目標である、モジュール式に拡張されたプロセッサーの複数のクラスターによって構築された4,000量子ビット以上のプロセッサーの実現を目指します。
・IBM は同時に、IBM のコア量子ソフトウェア・スタックにサーバーレス・アプローチを導入し、開発者に高度な簡素化と柔軟性を提供できるよう、クラウドに組み込まれたQiskitR Runtime とワークフローによるフリクションレス(摩擦のない)な開発体験を構築するという目標に向けて前進します。このアプローチは、量子システムと古典システムにまたがる課題を知的かつ効率的に分散させるための重要なステップとなり、量子を中心とするスーパー・コンピューティングの時代への基礎となるものです。
・IBMは、2020年に発表した量子ロードマップのタイムラインで示した各目標を達成してきました。達成した目標の一例として、古典的なコンピューターでは正確なシミュレーションが不可能な量子回路を備えた127量子ビットのプロセッサー「IBM Eagle」や、Qiskit Runtimeを活用することで、2017年の先行実験と比較して、分子シミュレーション能力の120倍の高速化を実現したことなどが挙げられます。IBMは、2022年後半に433量子ビット・プロセッサー「IBM Osprey」を、2023年には1,000量子ビットを超える世界初のユニバーサル量子プロセッサー「IBM Condor」を発表する予定です。
量子コンピューティングの拡張版ロードマップに関する詳細は、IBM Research blog(英語)(https://www.research.ibm.com/blog/ibm-quantum-roadmap-2025)をご参照ください。
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