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  • 2023/02/10 掲載

ソニーとホンダの「AFEELA」実現に暗雲? EV技術開発での「ある変化」とは

大関暁夫のビジネス甘辛時評

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先日、トヨタ自動車の豊田章男氏が社長を退任するというニュースでも世間の注目を集めた自動車業界。その自動車業界での注目技術といえば、やはり電気自動車(EV)でしょう。先月ラスベガスで開催された米テクノロジー見本市CESでは、ソニー・ホンダの試作車など近未来を感じさせるEV関連の出展が多くの来場者の関心を引いたといいます。一方で、自動運転を巡る技術面での潮流の変化など、次世代自動車開発の世界には混沌としたムードが漂い始めているようにも見受けられます。今回は、まだまだどう転ぶか予断を許さない、EV開発を巡る注目ポイントを整理します。
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ソニーとホンダが開発した次世代型EV「AFEELA」
(写真:AP/アフロ)

次世代EVが脚光も実現に暗雲?

 CESのEV出展で特にメディアの話題を集めていたのは、日本発のナショナルブランド2社の提携で注目されるソニー・ホンダのEV「AFEELA」の試作車です。同モデルは未来志向EVの代表格といえるスペックを有しており、たとえば、外部とクラウド通信でつながり、音楽ビデオや映画だけでなく高性能ゲームまでも車内で楽しめるといった特徴を持つ近未来エンタメ・カーと言えます。エンタメ・カーに代表される車の次世代ソフトウェア開発の披露は、ドイツのアウディやBMWなどの高級車ブランドでも見られたようで、未来志向の高級車EV開発における1つのトレンドといえる様相を呈しています。

 しかし夢のある未来志向EVが注目を集める一方で、これに水を差すような新たなトレンドも出てきました。それは、自動運転に対する取り組み姿勢の変化です。CESのパネルディスカッションでは、自動運転への期待値が以前より落ち着いてきたとの意見も出たといいます

 大手自動車業界でも、米フォードと独フォルクスワーゲンの共同出資で完全自動運転技術の開発を目指したスタートアップ、アルゴAIが昨年清算を発表しており、まるで、この分野の研究がかつてのように過剰な注目を集めていないことを示唆するようです。

 この流れが生じた理由の1つとして考えられるのは、完全自動運転(レベル4)は開発に莫大なコストがかかるため、自家用車よりもコスト面で無人化のメリットが大きい商業交通サービス向けを優先すべき、と各社が判断したのではないかという点です。

 この傾向は、自動運転システム開発会社で米アルファベット傘下のウエィモがタクシーでの自動運転を披露したり、独部品メーカーZFが自動運転の電動シャトルバスを出展するなど、自動運転を商用に限定する動きが目立ったということからも読み取れるように思います。

 さらに、自動車各社にとってコスト以上に問題なのが、安全性への懸念です。米国で昨年11月24日、高速道路を完全自動運転で走行していたテスラ車が突如減速・停止し、後続の車が追突する事故が発生しました。

 この事故は、テスラの完全自動運転ソフトのベータ版が配信された当日の出来事であり、EVソフト開発にとってはあまりに衝撃的な事故であったと言えます。米高速道路交通安全局の調べでは、テスラの運転支援基礎システムを使用した車は22年5月までの1年間で、273件の衝突事故に巻き込まれているとのデータが公表されており、自動車業界が完全自動運転に対して消極姿勢に転ずるには十分すぎるデータではないでしょうか。

実現は自動運転の進歩に依存してしまう

 先のソニー・ホンダのエンタメ・カー構想はあくまで完全自動運転化が実現してこそ意味のあるものであり、完全自動運転化の足が鈍った今、実現時期の見えない夢の構想に過ぎなくなったとも言えます。

 そうなると問題は、未来志向EVのソフト開発はどこに向かうのかということです。内燃エンジン車がEVを含めた脱CO2排出車に代わることで、自動車業界の競争軸が燃費などの走行性能からソフトウェアになるでしょう。しかし、各社がソフト開発の落としどころをどこにもっていくのかは、不透明感が増したと言えます。

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EVのソフトウェア開発はどこに向かうのか
(Photo/Getty Images)

 EV開発各社が戦々恐々として関心を寄せているアップルカーに関しても、ブルムバーグが「発売目標時期を約1年延期して2026年とし、かつ完全自動運転を前提とするハンドルやペダルのない車両デザインは断念する計画に変更した」と報じており、前述の業界動向と符合しています。

 アップルカーが話題先行のままなかなか具体的な姿が見えてこないのも、カギを握るソフト開発の落としどころが見えなくなってしまった、という点に理由があるのではないかと疑ってしまいます。

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