- 2006/05/31 掲載
いま、注目を集めるLLC(合同会社)、第一号「関西商魂」の代表中森氏に設立までの経緯を聞いた(2/2)
週末起業やサラリーマン法人にも最適な合同会社
--給与や利益配分で、合同会社と他の形態では違いがあるのでしょうか?
中森●合同会社は、構成メンバーである社員が集まって会社を作っています。社員のうち、一般の会社でいう代表取締役や取締役に当たるのが代表社員、業務執行社員です。合同会社でユニークな点は、社員が経営者と株主の両方を兼ねていることなんですよ。

私もいろいろとリストラ関係の著作を出してきましたが、トラブルを起こしている会社というのは、従業員の給料を搾取して会社を大きくすることに熱心なんですね(笑)。会社が大きくなればなるほど、従業員の給料が搾取されていく。しかし、合同会社ではこういうことがありません。
ただし、規模が大きくなってきたら、株式を公開したりと形態を変えていく必要も出てくるでしょう。そういう場合もご心配なくというのも変ですが(笑)、合同会社は株式会社に変更することができます。これに対して、LLPは会社ではありませんから、株式会社になることができません。
--合同会社は、週末起業やサラリーマン法人にも向いていそうですね。
中森●いきなり株式会社を立ち上げる手もありますが、社会保険や法人税の手続きが合同会社より面倒です。また、有限責任というのもポイントです。無限責任の合名会社や合資会社にして、給料を差し押さえられたらたまりませんから。
LLPやNPOという選択肢もありますが、LLPでは利益が伸びてくると配分で問題が出ることもあるようです。会社ではないため、LLP自体が資産を保有できないんですよ。これに対して合同会社なら車や家屋を資産として計上できます。一方のNPOは理事が10名以上必要です。全員のベクトルを合わせるにはかなりのパワーを必要としますから、仕事の合間に片手間でやるのは難しいと思います。
共同会社を設立するまで
--設立する際に注意すべき点はありますか?
中森●会社概要を決めたら、法務局で商号と事業目的について調べましょう。従来の会社法では、同一市町村内で類似業種、類似名称の会社は認められませんでした。新会社法では、同一住所、同一名称でない限り認められます。それでは「合同会社ソフトバンク」などという会社も立ち上げられるのかというと、これは不当競争防止法にひっかかる可能性が高い。商号調査は必要ですね。事業目的は、すでに許可された事例集を参考にして書くようにしましょう。そうでないと書類を受け付けてもらえないことがあります。この2つが最大のイベントで、これがすめばあとは簡単です。
まず、会社設立3点セットといわれる実印、銀行印、角印を作ります。ネットで注文したら6000円くらいで作れましたよ(笑)。必要な書類は、法務省のウェブページからダウンロードできます。金融機関に口座を開いて資本金を入金、必要書類に記入したら、法務局へ申請します。電子申請を使えば、法務局へ足を運ばずに登記が行えます。
私の場合は、大阪産業創造館のサービスを使って、無料で申請代行をしていただきました。ちなみに、申請日時は4月28日の17時00分44秒ですから、一番乗りだと思います(笑)。全部含めて3週間もあれば、会社ができてしまいます。あとは、税金や社会保険関係の届け出を行いましょう。
会社を作ったらきちんと領収書をもらう習慣を付け、区分けしておくのも忘れずに。事業に専念するために、税理士と顧問契約を結ぶとよいでしょう。私は、知り合いの会社とセットで依頼して、顧問料を安くしてもらいました(笑)。
--これから起業を考えている方に一言お願いします。
中森●自分の会社名で名刺を作ると、身が引き締まります。このようにモティベーションが上がるというのも、会社を作るメリットの1つですね。
そして、会社を作ると信用度が上がり、法人対法人の付き合いができるようになります。手続きもとても簡単になりましたから、こうしたことを踏まえて、ぜひ会社設立を検討していただければと思います。
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