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- 2023/07/20 掲載
部下のホンネが丸わかり? 超簡単にできる組織状態の「見える化」手法とは
管理職向けデータ分析実践術
機能しにくい「従業員調査」
組織コンディション把握といえば、一定規模以上の事業所に義務づけられているストレスチェックや、年に1回実施されることが多いエンゲージメントサーベイ(従業員満足度調査)を思い浮かべる方が多いと思います。これらの取り組みは、人事労務など経営管理部門が、組織の健康状態をざっと把握する目的であれば有用です。しかし、タイムリーでない・頻度が少ない・質問項目や選択肢が一般的すぎるなどの問題があり、日々のマネジメントや組織の問題解決に生かすのは難しいものです。
その対策として注目されているのが、「パルスサーベイ」という手法です。パルスサーベイは、週1回~月1回の頻度で、5~15問程度の簡単な質問を繰り返す調査のことです。高頻度で調査を実施するので、タイムリーに組織や社員の問題をキャッチすることができる、というわけです。
しかし、このパルスサーベイ、一度の質問数が5~15問になり、年1の大規模調査に比べて減ったとは言え、回答者側の負荷はむしろ高まることが多く、回答結果を適切に活用できる上司も少ないため、うまく機能しないことが多いのが実情です。
そこで、その代わりに提案したいのが、「毎日1問アンケート」です。
毎日「たった1問」でわかる組織コンディション
日々の組織コンディションをとらえるのに、5問も10問も必要ありません。たとえば次のような1問で十分だったりします。帰宅前に回答してもらうイメージですね。Q.今日の調子を振り返って、最も近いものを1つだけ選んでください。
A.選択肢(シングルアンサー)
- 2段階評価:調子が良い/調子が悪い
- 3段階評価:調子が良い/どちらとも言えない/調子が悪い
- 4段階評価:調子が良い/やや調子が良い/やや調子が悪い/調子が悪い
- 5段階評価:調子が良い/やや調子が良い/どちらとも言えない/やや調子が悪い/調子が悪い
あるいは、
Q.今日の調子はどうでしたか?一言二言で教えてください。
A.フリーアンサー
アンケート(1)の場合、調子が良い=5点/やや調子が良い=4点/どちらとも言えない=3点/やや調子が悪い=2点/調子が悪い=1点のように数字とひもづけて集計すれば、メンバーのコンディションを全体・個別それぞれ数値化できます。
たとえば平均が3未満のメンバーは、ほとんどの日で調子が良くないので抜本的な改善が必要でしょうし、直近まで平均4前後だったメンバーが今週に入って3未満になったなら、新しい問題が発生したことが伺えます。
一方、アンケート(2)の場合、「めちゃくちゃ忙しかった」「なんかずっとイライラしていた」「ノッてた1日でした」のような意見が集まってきます。
ただしここで注意したいのは、多くのメンバーは、上司に率直な意見を言うのをためらうということ。オブラートに包まれた感想を集めても意味がありません。率直に自分の調子を最もよく表す言葉を選ぶよう(もちろん人としてのマナーは守りつつ)、事前に周知することも重要ですし、それが可能になる信頼関係をつくっておかねばなりません。
(1)にしろ(2)にしろ、メンバーの調子の良し悪しを毎日アンケートで集めるだけで、組織のコンディションが格段に把握できるようになります。毎週1問で実践しても効果はあります。
大切なのは、継続すること。そして、メンバー個人ごとの回答内容の「変化や推移」を正確に把握することです。もちろん、数字をチェックするだけでは不十分で、実際に目で見た仕事ぶりとひもづけて解釈することが重要です。
その上で、心身の不調やパフォーマンス低下などのネガティブ側面、あるいは意欲やスキルの向上、つまり成長傾向などのポジティブ側面のそれぞれ「予兆」が見られた段階で、声掛け・フィードバック・アサインメントの変更などのマネジメントアクションに生かしていきましょう。 【次ページ】追加するとより「効果大」の質問とは?
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