- 2007/03/19 掲載
【CIOインタビュー】岐阜県庁 「ぎふポータル」と地上デジタル放送で住民への情報サービスを強化(3/3)
【オンラインムック】経営革新を支える日本のCIO
岐阜県では、基本的にアウトソーシング事業のプロジェクト管理をベンダーに依頼している。専門家が育ちにくい環境のなかで、にわかに職員が対応したとしても、納期や契約した予算を管理するなかで問題があってもわからない可能性があるからだ。しかし、2006年4月からは、情報企画課のなかにPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)という組織をつくり、行政として最低限のプロジェクト管理を行っていくという。
「PMOは、言葉としてはこれまでもありましたが、県レベルで実際に作るのはおそらく岐阜県が初めてでしょう。行政側が行うプロジェクトマネジメントの領域は、調達し、契約して、金額と納期、そしてアプリケーションを決めることまでです。後は全部ベンダーの責任になります。プロジェクトの途中でスケジュールが変わったり、予算が増えましたとベンダーに言われたりしても、正当な理由がないかぎり計画の変更はできません。このようなことが起こらないよう、日頃からプロジェクトの管理を徹底し、円滑なプロジェクトの推進を目指します。
ベンダーと業務をするときに心がけていることは、結果的に双方がプラスにならなければいけないということです。ベンダーとユーザーの関係は、発注者と業者の関係ですから、片方の立場が強く、片方の立場が弱いと、結果的に良いものができません。税金を投入したにも関わらず、住民にとって効果のあるものができないと、安かろう悪かろうになってしまうからです。適正なものになるためには、両方がバランスよく、が基本ですね。税金を使っているので、住民が満足するものを絶対に作らなくてはならないのです。」
知地は、手段としてのITを冷静に見ている。そして、ITが生活の深いところまで入り込んできていることを認める一方、行政の対応の遅れには手厳しい。
「ITは、目的でなく手段です。企業からすると経済手段であり、公共サービスからするとそのサービスを高める手段であり、行政からすると住民福祉サービス向上の手段ですね。一般消費者からみると、自分たちが生活していくための手段として情報を入手したり、ショッピングをしたりというのが当てはまりますね。その手段の発展が、社会の発展になっていると思います。
たとえば、癒し系ロボットは、その存在意義自体は別として、『癒し』という感性の世界にまで入り込んできたということで、ある意味、ITが『深く』なったことの現れですよね。電車が止まったとき、証券会社がダウンしたときなどの社会的な影響を考えると、ITの重要性がわかります。その重要なITを今一番活用していないのは政治であり、行政であると思います。民間の事業とか、生活者のほうがITを活用しています。
目先を変えて、衣食住に対してITがないと困るかという観点で見たとき、物流が止まったらスーパーに行っても物が買えませんが、自足自給が可能なら問題ないですよね。田舎に暮らして、テレビもネットもいらない。食べ物も自分で作るとなれば…。そうなると、日常の生活でITがどこまで利便性をもっているか考えたとき、まだITは我々の生活の奥深くまで入り込んでいないですよね。しかし、地上デジタル放送を通じて山奥までブロードバンド環境が整い、そこにテレビがある状況になれば、2020年頃には、もうそこに住んでいる人にとって、ITはなくてはならないものになるような気がします。」
■データ
岐阜県
代表者名 岐阜県知事 古田肇
設立年月日 明治4年、廃藩置県により岐阜県が誕生
県庁所在地 〒500-8570 岐阜県岐阜市藪田南2-1-1
職員数 4850人(知事の一般事務部局。2005年4月1日現在)
電話番号 058-272-1111(代表)
ホームページ http://www.pref.gifu.lg.jp/
■所在地概要:
・岐阜県は日本のほぼ中央に位置する。面積は約1万621平方メートルで、7つの県に囲まれた内陸県のひとつ。人口は210万人を超える。(2006年1月1日現在)
今回の記事は、弊社刊行「日本の情報システムリーダー50人」(2006年4月発行)に掲載されております。 その他の企業の記事は、同書でご覧頂けます。
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