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- 2023/11/21 掲載
脱炭素アドバイザーとはどんな資格? 創設背景から必要な知識までわかりやすく解説
脱炭素アドバイザーとは何か?資格の概要
「環境省が認定資格制度を始めた」というと、まるで国家資格であるかのように思えるかもしれませんが、これは誤解です。
脱炭素アドバイザーは国が直接アドバイザーを認定する「国家資格」ではありません。国が策定したガイドラインに適合した民間事業者の試験を環境省が選定し、その試験に合格することで資格を取得した有資格者が、対外的に「環境省認定制度脱炭素アドバイザー」を名乗ることができるという立て付けです。
要するに国が認定するのは資格を取得する人材ではなく、民間事業者が運営する資格制度そのものというわけです。結果的に国家資格ではないものの、ある種の公的なお墨付きを得られるといえるでしょう。
脱炭素アドバイザー資格制度創設の背景
そもそもなぜ国主導で脱炭素アドバイザー資格制度が創設されたのでしょうか。政府は2050年までの「カーボンニュートラル」実現、つまりCO2などの温室効果ガス(GHG)の排出量と吸収量を均衡させ、全体としてゼロにするという目標を掲げています。
脱炭素は、企業活動のあらゆる分野に関係する幅広いテーマといえます。脱炭素を進めるために計画を立て、実際に取り組みを推進するには広範な知識が必要です。
たとえば、GHG排出量の計測や削減目標の設定や具体的な削減策の実施はもちろん、企業の財務面を考慮した設備投資の検討や経営方針への反映、資金調達の方法などについて、きちんとした理解が求められます。
一般的に、中小企業は脱炭素化に向けた人材を自力で確保する余力がないことも珍しくありません。とはいえGHGの計測などを外部委託に頼ると、事業者によってサービスの内容や質にバラツキがあることも事実です。
こうした状況を背景に環境省の検討会で、脱炭素の取り組みを後押しする人材を第三者が「目利き」として見える化する仕組み、つまり資格制度が必要だという声が高まったという経緯があります。
環境省は今年9月、脱炭素アドバイザーの認定制度を本格始動させ、複数の資格制度が実際に認定されました。 【次ページ】脱炭素アドバイザーの3つのレベルと想定される取得層
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