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  • 2024/02/08 掲載

王者アップル超えに隠れる「マイクロソフトの不安材料」、時価総額の意外な行方とは

連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤

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生成AIブームの波に乗るマイクロソフトが1月、時価総額の世界番付で従来の王者であるアップルを抜いた。理由について米メディアは、「マイクロソフトは、AIサービスやクラウド上でのソリューションで今後も大きな成長が見込める。それに対しアップルは、iPhoneの売上伸び率の減速が予想される上、成長の源であったApple Watchも規制強化で減少する可能性がある」と評した。本当にこのまま、アップルが低迷し、マイクロソフトは無敵となってゆくのか。

執筆:在米ジャーナリスト 岩田 太郎

執筆:在米ジャーナリスト 岩田 太郎

米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。

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評価を上げるマイクロソフト、低迷するアップル。両者の対決の今後の行方は
(Photo:JRdes / Shutterstock.com)

米投資家が「アップル株の保有比率引き下げ」を推奨

 マイクロソフトの株価が米株式市場で上昇、1月11日に時価総額でアップルを抜き、首位を奪還した。マイクロソフトの時価総額がアップルを上回って取引を終えたのは2021年以来の出来事である。ただし両銘柄はその後、抜きつ抜かれつを繰り返し、2月6日現在ではマイクロソフトの時価総額が3.01兆ドル(約450兆円)、対してアップルは2.92兆ドル(約440兆円)と、マイクロソフトが優勢となっている。

 さらに純利益率(売上に対して得た利益の割合)を見ると、2023年10~12月期にマイクロソフトが36.27%という好成績を叩き出したのに対し、アップルは26.16%にとどまった。2月6日現在の過去1年における株価の上昇も、マイクロソフトが51.55%であるのに対し、アップルは22.41%と劣勢である。1月20日現在の過去1年における株価の上昇も、マイクロソフトが64.35%であるのに対し、アップルは35.75%と劣勢である。

 この先の株価の動きを予知することはできないが、投資家がマイクロソフトの将来性を高く買っているのに対し、アップルの評価を下げていることは事実だ。

 たとえば、英金融大手バークレイズのアナリストチームを率いるティム・ロング氏は年明け早々、「iPhone 15の需要が弱い上、2024年秋の発売が予定されるiPhone 16も従来機種と比較してさほど魅力的なものにならないだろう。こうしたハードウェア全般の販売の弱さが予想されるため、アップルの株価(2月6日時点では189.3ドル)はこの先1年で17%下げて160~161ドル辺りになる。保有比率の引き下げを推奨する」と発表している。

アップル低迷を裏付ける「多すぎる要因」

 特にアップルは、iPhoneの世界販売における国別割合で、米国本国(21%)を上回る中国(24%)で苦戦している。2023年のiPhone売上は前年比4%の下落。加えてアップルに詳しい著名アナリストであるミンチー・クオ氏の分析によれば、2024年に入って中国国内の週ごとの出荷台数が前年同週と比較して30~40%も落ち込んでいる。2024年の第1週に中国のECプラットフォーム「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」でiPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Maxを16%も値引きしたにもかかわらず、である。

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iphone 15 Proなどの中国での売上が低迷し始めている
(Photo:i viewfinder / Shutterstock.com)

 一方、ファーウェイ(華為技術)が2023年のスマホ売上を前年比で6%伸ばすなど、アップルを急追している。

 またアップルは、他の主力製品であるMacBookやiPadの売上も思わしくない。それだけでなく、ウェアラブル製品のApple Watch Series 9とUltra 2に搭載されている血中酸素飽和度(SpO2)センサーの特許を巡る争いに敗れ、米国における最新モデルでは同機能の提供を停止した。

 2024年発売の次期モデルSeries 10とUltra 3も影響を受ける可能性がある。Apple Watchはアップルにおける2023年度(2022年10月から2023年9月)の売上全体の4.7%を占めていた成長分野であるため、打撃は小さくないだろう。

 このほかにも、次のような理由でアップルには明るい要素が見つけにくい(図1)。

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次のページ以降では、アップルのもう5つの不安要素を解説しつつ、マイクロソフトの評価要素を分析し、両社の今後について考察する
【次ページ】マイクロソフトは「生成AI」などで順風満帆

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