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- 2024/04/02 掲載
AIエージェントとは何か? たった2時間で構築、人よりはるかに「コスパ激高」の現実
バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/
「AIエージェント」とは何か
2023年はテック大手がこぞって「生成AI」事業に参入し、生成AIへの過剰な期待を生み出す結果となった。2024年に入った現在、このハイプ状態はある程度落ち着き、現実路線での生成AIの可能性を模索する動きにシフトしつつある。そんな中、開発者らを含むAIコミュニティの間で注目を集めているのが、生成AIに複雑なタスクを指示できる「AIエージェント」という仕組みだ。
AIエージェントとは、複数のAIモデルを組み合わせ、単一のモデルでは困難な高度なタスクを自動で実行できるシステムのことである。企業の事務作業であれば、電話応対、スケジュール管理、データ入力など、これまで人間が行っていた一連の業務を自動化できる仕組みとなる。
2023年に設立されたばかりのシリコンバレーのAI企業Newo.aiが提供するサービスはその1つだ。
同社は、大規模言語モデル駆動のAIエージェントと物理的ロボットを組み合わせ、事務処理から顧客対応まで幅広いオフィス業務をこなす、「AI社員」を構築するプラットフォームを提供している。
このAI社員は、人間の社員ができるほとんどのオフィス管理タスクをこなすことができる。具体的には、電話の発着信、テキストでのチャット、Eメールの送信、Zoomコールへの参加、メモの作成、さらにはオフィスへの訪問者の受け入れなどの対応が可能だという。
AI社員の構築にかかる時間は、最短で2時間ほど、長くても2日ほどだ。企業のニーズに応じて、レセプショニスト、営業担当者、テクニカルサポート、カスタマーサクセススペシャリスト、人事担当者など、さまざまな役割を与えることができる。
同社の共同創業者でCEOを務めるデイビッド・ヤン氏は、VentureBeatの独占インタビューで「2023年以前は、AIエージェントテクノロジーは柔軟性、自律性ともに低く、企業で導入できるレベルにはなかった」と指摘している。
ローコード・ノーコードで構築も簡単
OpenAI AssistantsやLangChain、Sierraなど、AIエージェントを構築できるツール/サービスはNewo.ai以外にも存在する。しかし、それらは特定のタスクに特化しているか、AIエージェントを作成するのに数カ月のコーディング期間が必要など、制限や導入障壁が存在する。
この点を踏まえ、Newo.aiが注力しているのがノーコード・ローコードによるAIエージェント構築の仕組みだ。
同社のプラットフォームには、「スキル」と呼ばれる業務機能の最小単位があらかじめ用意されており、ユーザーはそれらを組み合わせるだけで簡単にAI社員を作成できる。たとえば、電話対応、チャット、Eメール送信といった一連の業務を1つの「フロー」として定義し、AI社員に割り当てるといったことが可能だ。
また、Newo.aiではインテグレーションにも力を入れている。
APIを介して社内の各種システムとAI社員を連携させることができるほか、APIを提供していないサービスとの連携を可能にする「マジックインテグレーション」と呼ばれる機能も用意。これにより、AI社員はウェブサイト上でのスクロールやクリックという動作を実行しながら、予約の取得やキャンセル処理なども自動で行えるようになる。
こうした特徴により、Newo.aiでは他社よりも10倍高速でAI社員を構築できるという。ヤン氏は先ほど紹介したVentureBeatのインタビューで、「Newo.aiは、WordPressがウェブサイト構築のために実現したのと同じことを、AIエージェント構築のために行った」と説明し、同社のプラットフォームを「AIエージェントのためのWordPress」と表現している。 【次ページ】人件費は「半分以下」に?
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