• 2007/10/03 掲載

部分最適ではなく全体最適が真に高品質なITサービスを実現する--BSP 竹藤氏

【ITキーパーソンインタビュー(10)】

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1977年にジョブ管理ツール「A-AUTO(エーオート)」の販売を開始して以来、一貫してITシステム運用のあるべき姿を求めて、さまざまな運用管理ツールやサービスを提供してきたビーエスピー。同社の代表取締役社長 竹藤浩樹氏に、昨今多発するITシステム障害の背景や、同社の事業戦略などをお聞きした。

開発から運用へスムーズな受け渡しが重要

ビーエスピー 代表取締役社長 竹藤浩樹 氏
ビーエスピー
代表取締役社長
竹藤浩樹 氏
──昨今、システムの本番稼働の遅延などさまざまなシステムトラブルが起きていますが、どのように捉えていますか?

 ITの高度化・多様化が進んでいる今日、複雑に入り組んだ企業システムにおいては、ちょっとした修正でもシステム全体に大きな影響を与えてしまうことが少なくありません。開発のスピードや生産性を上げる、障害を減らし運用の品質やサービスレベルを向上させるといった取り組みは一定の成果をあげてきてはいますが、開発したシステムを運用へスムーズに受け渡し、本番環境で問題なく稼働させなければ意味がありません。

 そのためには開発と運用の“はざま”における、それぞれの役割分担が明確になっているか、もしくははっきり分かれていることが必要です。これがしっかりとできていないために、たとえば開発側で本番環境に勝手に触ってしまったり、運用テストでしか分からない問題点を見落としてしまったりといったことが生じ、最終的にカットオーバーの遅れやシステム障害などの深刻なトラブルを引き起こす要因の1つになっています。

 また、企業活動におけるシステムの影響範囲が一段と拡大するにつれて、システムのリリース前の移行プロセスに相当な負荷がかかっており、そのために運用コストが一貫して増え続けていることも見逃せません。

 すなわち、本番移行のためのさまざまなテストやリハーサルに、結果として膨大な費用と手間を要しているという事実です。最近のある調査によれば、本番への移行作業に、開発から本番稼働に至るまでの全工数のおよそ4割がかかっているという結果も報告されています。

ライフサイクルの発想で本番移行への効率的な“橋渡し”を「LMIS(エルミス)」で実現

──今年6月に発表したBSPの新たな運用コンセプト「LMIS(エルミス)」には、そういった問題を解決できるヒントがあるのでしょうか?

 さきほどお話ししたような背景から、開発の生産性だけ、あるいは運用の品質だけを上げても、システム全体の品質レベルはなかなか上がりません。部分最適ではなく全体最適の観点からシステム全体を捉え、そのなかで開発と運用の役割の明確な切り分けが必要です。

 企業のシステムはメインフレームからオープン系まで、異なるシステムやさまざまなハードウエアが混在している状況が普通です。そのため、新規開発に限らず再構築やマイナーなシステム修正であっても、本番環境へのサービスインに際しては慎重な対応が必要になります。これは、ユーザーからのさまざま要望、エンハンスのリクエストや各種の障害対応など継続的に発生するシステム修正・改善においても同様ですし、さらにシステム規模の大小も関係ありません。

 現実に、煩雑でしかも相当な工数を要する本番移行への橋渡しの工程を、できるだけ自動化、効率化しなければならないという思いで企画・開発したのが、新しい運用コンセプトの「LMIS(エルミス)」です。

 この考え方は、最近日本でも発表された「ITIL V3.0」の大きな変更点の1つになっています。ITIL V3.0では、開発から運用への引継ぎを「サービストランジション(サービス移管)」と定義し、変更管理やリリース管理がその部分に含まれています。また、サービスの改善については、サービスストラテジーとして定義し、ITサービスをビジネス戦略の一環として捉えています。BSPの「LMIS(エルミス)」もITIL V3.0の考え方に準拠したものとなっています。

 「LMIS(エルミス)」では、開発からさまざまなテストを含む移行作業、実際のサービス提供、そして次の開発へとつながっていく一連のプロセスをシステムのライフサイクルとしてとらえ、開発からサービス提供までの“橋渡し”の工程をさまざまなツールやサービスによって自動化、効率化していきます。

 さらに、運用部門の人たちが持っている専門技術やノウハウ、経験をナレッジとしてデータベース化することで、運用品質やサービスレベルを継続的に向上させ、同時にコストの最適化も実現できるようになります。

 「LMIS(エルミス)」によって、ITサービス全体の品質を継続的に向上させ、トータルコストの最適化を図り、その結果として運用のみならず開発も含めたシステムを支えている方々の作業負荷を少しでも減らすお手伝いができるのではないかと考えています。今年の下期から「LMIS(エルミス)」のコンセプトに準拠した製品やサービスも順次発表する予定です。

──今年で30周年を迎える「A-AUTO(エーオート)」をはじめ、「BeXtation(ベクステーション)」「Loganizer(ロガナイザー)」など、運用に携わる人々にとって頼もしいツールを多数提供していますね。

 BSPの製品ラインアップは、運用の現場で5年10年と長年にわたって使っていただいている運用ツールです。ただ、本当に効率的なシステムを構築するには、必要なツールを選択しうまく組み合わせることが1番大事なポイントだと考えています。ですからツールをご提供する以前に、お客さまにとって最適なシステム運用はどうあるべきか、ということをお客さまとともに考え、議論し定義付けたうえで、最適な運用ツールをパッケージングする形でご提供し、24時間体制でサポートを行っています。

 お客さまを取り巻く環境変化のスピードがますます早くなっていますので、変化に適応し、ビジネスに直結した製品やサービスを提供していかなければならないと考えています。

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