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  • 2008/06/10 掲載

【連載】社内で導入するための実践「1枚企画書」講座(9)グラフの見せ方、強調の仕方(2/3)

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執筆:竹島 愼一郎

「現状のグラフ」と「提案のグラフ」

 企画書で複数のグラフを盛り込むケースは意外と多いものです。そしてそれらのグラフというのは単独で見せるものもありますが、前ページで見たように相互に何らかの関わりがあるものが多く見受けられます。

 前ページの場合、2つのグラフを対比させて見せるケースでしたが、1つのグラフ中の顕著な特徴に注目して、もう1つのグラフで詳しく説明するというタイプも考えられます。


※クリックで拡大
図3:もう1つのグラフで詳しく説明する例
 図3がその例で、日記を書籍化してくれる出版社の間ではどのくらいの価格差があるかを左側で比較し、「当社」が定めた価格が妥当である理由は右側のアンケート結果に基づくものだ、という見せ方になっています。ここではAというグラフについて、その理由や根拠を示すためにBというグラフがあり、その関連性を示すため点線による矢印と、点線による囲みを使用してあります。

 グラフに関して、もうひとつ指摘しておきたいことがあります。

 それは、図1と図2が企画の前提となるグラフであるのに対し、図3はこの企画を実現するためにはどうしたらよいのかという想定のグラフとなっているという点です。言葉を換えると、前者が「現状のグラフ」なら、後者は「提案のグラフ」であるということができます。

 たとえば企画の前提としてターゲットの実態について調べるとき、それは「現状のグラフ」で表されます。それに対して、ここで触れた企画書のように、その企画を通すことによって実現するであろうことや妥当性について納得してもらうには「提案のグラフ」というものが必要になってきます。

 「SVCIP」モデルでいうと、第1フェーズのS(情況)に必要なのが「現状のグラフ」で、第2フェーズのP(計画)に必要なのが「提案のグラフ」です。同じ1つのグラフで、実態を指摘する「現状のグラフ」に、その企画を通すことによって3年後にはこのような曲線を描いて伸びていくでしょうと想定する「提案のグラフ」をつけ加えることも可能です。

 グラフに用いるデータについて指摘しておきたいことがあります。それは、図3のようにその企画のために新たに採取したものを「一次データ」というのに対して、その企画以前に存在する「二次データ」というものがあるということです。

 今回の例では図1、図2の「現状のグラフ」が「二次データ」で、図3の「提案のグラフ」が「一次データ」という位置づけになっていますが、現状を把握する際にも、新たにアンケートをとったならそれは「二次データ」ではなく、「一次データ」であるということになります。

 念のため言っておくと、ここでいう「一次」「二次」というのは段階的な順序ではなく、そのデータに直接関わったか否かという違いで、簡単に言うと「一次」=ダイレクトに関わって新たに採取したデータ、「二次」=すでに存在しているデータと理解しておくとよいでしょう。

 データの信頼性では「一次データ」のほうが優位にあり、個々の企画のために新たに採取したものであるため説得力があることは確かですが、迅速にデータをとりたいというとき、また概要をおおまかに把握するといったときには「二次データ」も大いに活躍します。

 つまり、双方のデータは相互補完的に利用してこそ価値があると考えるとよいでしょう。

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