- 2025/05/25 掲載
上司の「進捗どう?」にどう答えるか…デキる人が実践する「理解」のプロセス
1996年生まれ。偏差値35の学年ビリから、2浪で自分の勉強法を一から見直し、どうすれば成績が上がるのかを徹底的に考え抜いた結果、東大に合格。著書『東大読書』シリーズ(東洋経済新報社)は累計40万部のベストセラーに。漫画『ドラゴン桜2』の編集やドラマ日曜劇場『ドラゴン桜』『御上先生』の脚本監修を担当。MBS『100%!アピールちゃん』『月曜の蛙、大海を知る。』にてタレントの小倉優子さんの受験をサポート。勉強法や思考法の研究と実践に基づいた著書は、多くの受験生や教育者から支持を集めている。
「笠地蔵」の話を簡単に説明すると、こうなる
B 信心深い人には良いことが訪れるという話
この2つ何が違う?
皆さんは、「笠地蔵」という昔話を知っていますか?
簡単に説明すると、こんな話ですね。
昔、老人が街に自分たちが作った笠を売りに行ったが売れなかった。雪が降る帰り道、老人は地蔵を見かけ、地蔵が雪で寒そうだと感じたため売れ残った笠を被せてやった。家に帰って事の顛末(てんまつ)を配偶者である老婆に語ると、老婆は「良いことをした」と笑った。その夜、物音がしたので見に行くと、地蔵が家の前にお金や食料を置いて帰っていくところだった。2人は感謝し、幸せに暮らした。大体こんな話ですよね。もっと細かいディティールとして、「笠はもともとおばあさんが作ったものだったので、おじいさんは笠が売れなかったことを申し訳なく思っていた」とか、「地蔵の数は6体で、笠は5つしかなかったので、最後の地蔵には自分の被っていた笠を被せてやった」とか、そんなエピソードもありますが、これは枝葉の話なのであまり考えなくてよいでしょう。笠地蔵を短く説明して「要約する」となると、さっきの文章くらいの長さになりますね。
さて、では次の文章はどうでしょうか?
老人が地蔵に優しくしたことによって救われたという話。信心深く、地蔵や仏を大事にする人物には、最終的には良いことが訪れるという教訓を伝えていると考えられる。これも、笠地蔵を手短にまとめた説明として適切ですね。どちらの説明も、笠地蔵という話のことがわかるものだと思います。
「事実の整理」と「整理した事実の解釈」は、使い分けが重要
さて、この2つの説明の違いはどこにあるでしょうか? 前者のほうは笠地蔵という話がどんなことを語っているのかについて、物語の中で起こった出来事をベースにエピソードを整理して説明しています。それに対して後者は、その前提を踏まえて、解釈をして語っているものです。整理された情報を読み解き、「何が言いたかったのか」を頭の中で想像しているわけです。「物事を理解して、相手に短くわかりやすく説明するためにはどうしたらいいのか」について皆さんに共有するわけですが、まず最初に覚えておいていただきたいのは、このように「事実を整理する」のと「整理した事実を解釈する」のとは、まったく違う行為であるということです。
人間は物事を理解するとき、「事実を整理する」という行為をした後に、「整理した事実を解釈する」という行為をしています。どちらも重要なプロセスであり、タイミングによってこの行為を使い分ける必要があります。
たとえば会社で「この会議の議事録を取ってくれ」と言われたら、「事実を整理する」ということを実行するでしょう。逆にその人の勝手な解釈ばかりが入った議事録は求められていないはずです。一方で、感想を求められたときには「整理した事実を解釈する」という行為が求められます。「ここまでの会議を踏まえて、君はどう思う?」と聞かれたときに、「そうですね、ここまでの会議ではこんな会話をしていましたよね」と事実を整理して話すことは求められていないはずです。
このように、状況によって使い分けることが大事なのです。
この「事実を整理した要約」も「整理した事実を解釈する要約」も、両方の方法を皆さんにお伝えしたいと思います。
ですので、まずはこの2種類が全然別物で、両方の過程が必要なことを覚えておいてください。 【次ページ】上司にどう返事をする? 仕事ができる人の場合は…
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