- 2025/05/18 掲載
「東大入試」本当の恐ろしさ──答えをたった「30文字」で書かせるワケ
東大だけが記述問題に加える、厳しすぎる“制限”
突然ですが皆さんは「東京大学の入試が日本で一番難しい」と言われる理由を知っていますか? 僕は東京大学志望の生徒たちに指導をすることが多いです。「日本で一番偏差値が高い大学である東京大学に合格したい」と考えている生徒たちに対して、国語という教科の勉強やメンタルの保ち方・それ以外のことも含めていろんなことを教えています。東京大学は、全科目、ほとんどの問題が記述問題の大学です。選択肢を選ぶ問題ではなく、説明を求める問題が多いです。国語だけでなく、英語でも理科でも社会でも、「これはなぜか、30文字以内で説明しなさい」といった問題が多く出題されています。数学でも、答えを途中の計算過程や思考の過程も含めて記述しなければならないので、本当にほぼすべてが記述式の入試だと言えるでしょう。
「全部記述式で答えなければならないなんて、難しい大学だなあ」と思うかもしれません。でも実は、本当に東京大学が恐ろしいのはここからなのです。
記述式はたしかに難しいですが、記述式の問題が多い大学はほかにもたくさんあります。でも、東大だけは、その記述問題に1つ、大きな制限が加えられているのです。
それは、文字数の制限です。
「これはなぜか、30文字以内で説明しなさい」というように、文字数に制限がかかっています。
「これはどういうことか、60文字以内で答えなさい」
この制限が非常に厳しいです。「100文字以上かけて説明するなら全然簡単だけど、60文字で説明しなさい、なんて難しいよ!」と感じる受験生が続出するほど、制限が厳しくて難しいのです。
「日本一難しい」東大が入試で求めている能力とは?
他の大学では、まったく逆の傾向があります。「短く書くこと」ではなく「長く書くこと」を求める場合が多いです。たとえば、自由英作文と呼ばれる問題形式があります。これは、どの大学でも出題される問題形式で、「~について、あなたの考えを○語以内の英語で答えよ」というような問題になります。東大と他の大学では文字数制限が違うのです。一橋大学の自由英作文は100~140語で、他の難関国公立大学も基本的に100語程度の英作文を求めるのに対し、東大は年にもよりますが、だいたい70語程度です。
「短い文字数でいいってことは、東大のほうが簡単ってことじゃないの?」と思うかもしれませんが、短く言いまとめなければならないからこそ冗長に説明することができず、ポイントを絞らなければならないからこそ難しいのです。こうした「短く語らなければならないこと」こそが、東大が日本で一番難しい大学だと言われている1つの大きな要因なのではないかと僕は考えています。
なぜ、このような問題が出題されているのか? 東大は、こうした問題を課すことで、要約力を問いたいのではないかと言われています。短く言いまとめることができる能力があるかどうか? 長く説明するのではなく、スパッと言いたいことを言って、重要な要素のみをポイントを絞ってまとめる能力があるかどうか? そうしたことを問いたいのではないでしょうか。
この「要約力」こそ、今回皆さんと一緒に身に付けたい能力であり、「頭がいい人がどうして頭がいいのか」の大いなる答えであると僕が考えている能力です。 【次ページ】ビジネスだろうが勉強だろうが、絶対プラスになる
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