- 2025/06/12 掲載
「ミスマッチ減った」「評価も明確に」…ジョブ型採用に8割の企業が前向きな実感
応募者の質向上を82.3%が実感、入社後1年以内の離職率も改善
「ジョブ型採用の導入後、応募者の質はどのように変化しましたか」という質問では、82.3%が何らかの向上を実感。その内訳は「大きく向上(30%以上)」が22.5%、「やや向上(10~30%程度)」が37.3%、「少し向上(10%未満)」が22.5%だった。質が低下したと答えた回答者はゼロだった。同様に「入社後1年以内の離職率はどう変化したか」という設問では、81.4%が改善を感じていると回答。「大きく改善(30%以上)」が19.6%、「やや改善(10~30%)」が39.3%、「少し改善(10%未満)」が22.5%を占めた。
採用活動における具体的な効果では、「候補者との期待値のミスマッチが減り、入社後の定着が良くなった」が47.1%で最多。以下、「必要なスキルや経験が明確になり、的確な人材が集まりやすくなった」が43.1%、「職務内容が明確なため、応募者の質が向上した」が40.2%と続いた。
組織全体の運営にも前向きな影響が
ジョブ型採用の導入は、採用活動だけでなく、組織全体の運営にも前向きな影響を与えている。調査対象となった企業のうち、「非常に前向きな変化が見られた」が27.5%、「ある程度前向きな変化が見られた」が51.0%と回答しており、導入によって社内に好影響が広がっている様子がうかがえる。具体的には、「評価基準が明確になり、社員の納得感が高まった」とする回答が56.2%で最多となった。次いで、「社員一人ひとりの役割が明確になり、業務効率が上がった」が47.5%、「キャリアパスが見えやすくなり、成長意欲が高まった」が46.2%といった項目が挙がった。
そのほかにも自由回答として、「社内の風通しがよくなった」「職務志向の働き方になった」「メリハリがつきやすくなった」など、社員の意識や行動にも変化が見られたという声が寄せられている。こうした変化は、企業にとっての評価制度や人材育成方針の見直しにもつながる可能性がある。
導入には課題も、「人材要件の設定」や「給与水準の調整」に苦慮
一方、企業側が一定の課題を感じていることも明らかとなった。調査では、全体の70.7%が「かなり大きな課題があった」または「やや課題があった」と回答しており、制度移行のハードルが依然として存在していることがうかがえる。具体的には、「求める人材要件の設定が難しく、採用基準の調整に苦労した」が52.8%、「給与水準の設定に苦慮した」が45.8%、「職務記述書の作成に時間と労力を要した」が40.3%といった声が多かった。また、制度導入にあたって、時間を要することや、既存の人事制度との整合性を取ることが難しいといった自由回答も寄せられている。
今後の運用方針については、「積極的に拡大していく予定」とした企業が33.3%、「現状の規模を維持する予定」とした企業が31.4%にのぼり、多くの企業が導入後も継続的に取り組む意向を示している。
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