- 2025/07/24 掲載
上場企業の年収が過去最高を更新、しかし賃上げムードに黄信号?【市場調査】
75%の企業で給与が増加、平均年収は過去最高を更新
帝国データバンクが2024年7月15日に公表した調査によると、2024年度決算期(2024年4月~2025年3月期)における上場企業の平均年間給与は671万1,000円となった。前年の651万4,000円に比べて19万7,000円・3.0%の増加で、過去20年で最も高い水準となった。最も平均給与額が高かったのは、東証グロース市場に上場するインテグラルで、2577万円だったという。
平均年間給与が前年度より増加した企業の割合は75.0%にのぼり、過去5年間で最も高い比率となった。中でも「5%未満の増加」が最多で、「5~10%未満」「10%以上」の増加企業もそれぞれ一定数存在した。
この結果、厚生労働省が公表した「2024年 民間主要企業春季賃上げ妥結状況」による平均賃上げ率(5.33%)を上回る企業が、全体の4社に1社を占めたとしている。
業種別、市場別のトップは…
産業別では、製造業の平均給与が681万2,000円、非製造業が665万1,000円となり、いずれも前年から3%前後の増加となった。業種別で最も平均年間給与が高かったのは海運業で、1052万3,000円。対象となったすべての海運企業で、上場企業平均を上回っていたという。一方で、陸運業では13.7%増の645万円となり、調査開始以来初めて600万円台に到達。物流や旅客輸送分野における人材確保のための賃上げが反映されたとみられる。
上場市場別では、東証プライムが763万3,000円で最も高かった。次いで、東証グロースが629万円となり、2年連続で600万円を超えた。また、東証・名証・福証を含む全市場で平均年収500万円を突破している。
帝国データバンクは、好調な企業業績や人材確保の必要性を背景に、2024年度の賃上げ傾向が強まったとする一方で、2025年度以降は米国の関税政策などが輸出産業に影響を及ぼし、業績悪化を通じて賃上げの動きを抑制する可能性もあると指摘している。
今後も物価高や人手不足に対応するため、初任給の引き上げや給与体系の見直しが進む見通しで、持続的な賃上げが可能かどうかが注目されるとしている。
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