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- 2025/07/30 掲載
まさか自分が…政府スマホで漏えいした「AI音声なりすまし」が脅威すぎる
英大学院修了後、RPA企業に勤務。大手通信社シンガポール支局で経済・テクノロジーの取材・執筆を担当。その後、Livit Singaporeでクライアント企業のメディア戦略とコンテンツ制作を支援(主にドローン/AI領域)。2026年2月、シンガポールで「SimplyPNG」を設立し、AI画像編集のモデル運用とGPUコスト最適化を手がける。主にEC向け画像処理ワークフローの設計・運用自動化に注力。
米首席補佐官の携帯はどのようにハッキングされたのか
2025年5月下旬、ホワイトハウスを震撼させるサイバー攻撃事件が発覚した。トランプ大統領の首席補佐官(チーフ・オブ・スタッフ)であるスージー・ワイルズ氏の個人用携帯電話が何者かによってハッキングされ、機密性の高い連絡先情報が大量に流出。攻撃者はこの情報を悪用し、政府高官や有力者になりすまして接触を図るという前代未聞の事態に発展した。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ハッカーはアドレス帳にアクセスした上で、AI技術を駆使してワイルズ氏の音声を巧妙に模倣し、本人と見分けがつかないような電話をかけていたという。
ホワイトハウスの広報担当官アンナ・ケリー氏は、TechCrunchの取材に対し、ワイルズ氏の個人端末に関連するクラウドアカウントが侵害されたのか、それとも政府レベルのスパイウェアを使用したより高度なサイバー攻撃の標的になったのかについての明言を避けた。ホワイトハウスは「全スタッフのサイバーセキュリティを非常に重視しており、この件は引き続き調査中である」との声明を発表するにとどまっている。
ワイルズ氏がハッカーの標的となるのは今回が初めてではない。2024年8月には、イラン関連のハッカーがワイルズ氏の個人メールアカウントへの侵入を試みていたことがワシントン・ポスト紙によって報じられた。
当時の報道では侵入の成否は不明とされていたが、ウォール・ストリート・ジャーナルは、情報筋の話として、ハッカーは実際にメールへの侵入に成功し、当時トランプ氏の副大統領候補だったJD・ヴァンス氏に関する機密文書を入手していたと伝えている。
FBI捜査官らは、2024年6月にトランプ陣営の長年の非公式顧問であるロジャー・ストーン氏に送られたスピアフィッシングメールの背後にイランがいると断定。この手口は成功し、ハッカーはストーン氏のメールアカウントを乗っ取り、スピアフィッシングリンクを含むメッセージを他の人物に送信することができたという。
今回の事件は、トランプ政権発足からわずか数か月で発生した一連のサイバーセキュリティ事件の一例にすぎない。実は、ワイルズ氏への直接的な攻撃と時を同じくして、政府関係者が利用していた通信ツール自体にも深刻な脆弱性が発見された。TeleMessageの事例は、個人への標的型攻撃とは別の角度から、政府機関の通信インフラ全体を脅かす構造的な問題を浮き彫りにするものだ。 【次ページ】政府高官らが使用していた通信ツールの脆弱性
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