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  • 2008/07/24 掲載

経済産業省のSaaSに対する取り組み--経済産業省 安田篤氏

キーパーソンが語る「SaaS」の未来とその可能性

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経済産業省もSaaSに対する取り組みを強化している。中でも「中小企業向けSaaS活用基盤整備事業」では、公的ITインフラを整備し、50万社の中小企業を巻き込む算段だ。経済産業省のIT分野での取り組み、官民巻き込んだSaaS政策の目的や背景などについて、商務情報政策局情報処理振興課の安田氏に伺った。
(聞き手:ビジネス+IT編集部 松尾慎司)

中小企業のIT競争力向上の課題は“攻め”と“守り”

安田篤氏

経済産業省
商務情報政策局情報処理振興課
課長補佐
安田篤氏

1998年通商産業省(現経済産業省)入省。1999年、機械情報産業局情報処理振興課 業務係長。2000年、地球規模問題課気候変動枠組条約室 外務事務官。2002年、経済産業省大臣官房秘書課付、ハーバード大学ケネディスクール行政学修士。その後、産業技術環境局研究開発課 課長補佐を経て現職。

──いま経済産業省が取り組まれているIT分野への取り組みについてお教えください。

 日本におけるIT投資のここ数年の傾向を見ていると、全体、もしくは大企業は伸びているものの、中小企業はほとんど横ばい、さらに従業員の数が減れば減るほど、IT投資が増えていません。そのため、大企業と中小企業の間でのディバイド(格差)が広がりつつあると認識しています。

 また我々は、質の面から企業のIT活用を4つのフェイズに分けて考えています。第1段階が「とりあえずITを買いました」という導入フェイズ、第2段階がそれを各部門(営業部など)でうまく共有して最適化すること。第3段階はそれを全社的に最適化すること。最後の第4段階は、たとえばサプライチェーン全体でIT投資を最適化するなど、自社に閉じず取引先や顧客を巻き込んだ形です。この質の面でいっても、第3段階、第4段階に到達している企業は全体の2割強というレベルで、多くの中小企業は最初の第1段階にとどまっています。

 この2つの課題を背景に、経済産業省では企業のIT投資をどのようにすれば最適化できるのか、ベストプラクティス(理想的なモデル)を収集したり、税制の優遇措置を実施したりしています。

──大企業と中小企業のITディバイドは増加傾向にあるのですか?

 ずっとその傾向が続いていると思います。中小企業もパソコンとブロードバンドは約8~9割入っていると言われていますが、問題はそれをどう使っているのかということです。メールを使っていても、販売促進のWebサイトを作り込んだり、財務会計のソフトを活用したり、さらに顧客管理までやっている中小企業は全体の半分にも及びません。

 ここで1つ問題になるのが、中小企業とひとくくりに言っても、数人規模から数百人規模まで広範に渡っており、さらにその中でもディバイドが進んでいるということです。100人規模の中小企業であれば、年間のIT投資が100万円以上、サーバを持ち、それを管理する人を確保できるかもしれません。しかし、従業員20人以下の企業では、たとえば、年間30万円、専属要員が1人いるというわけにもいかないでしょう。こうしたことがさらに格差を広げる原因になっています。

──そうした中小企業にとって、IT化はどのような役割を持つのでしょうか?

 中小企業のIT化には、守りと攻めの2つの側面があると思います。1つが「どちらにしてもやらなければならないことをIT化する」ということです。これは財務会計処理、税務処理、税務申告が該当します。もう1つが「コア業務に直結する事業をIT化する」ということです。これは、顧客分析や経営分析、ERPなど、IT化することで収益を押し上げるようなことがIT化できていないわけです。そして、この2つについて、たとえ20人以下の企業であっても、きちんと実施できるようにするために注目しているのが「SaaS」です。

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