- 2025/08/21 掲載
【複数テンプレ付き】役割指定意味なし!CopilotとGoogleドキュメントのAI文章作成術(2/2)
【テンプレ付き】役割指定はもう意味なし?「最新」プロンプト作成術
生成AIに指示を与える際は、曖昧な表現を避け、誰に、何を、なぜ、いつ、どのように行うのかを明確に示す必要がある。特に役割・タスク・文脈・例示・出力形式・制約条件の6要素を分け、見出しや区切り線で整理するとモデルの理解度が上がる。ただ最近の研究では、役割指定は文体や視点を整える効果はあるが、推論精度そのものを高めるわけではないとの指摘もなされている。「あなたはマーケティングの専門家です」 などという役割指定をすることで、推論精度が向上するという期待は持たないほうがよいかもしれない。
より重要なのは、高度な推論を要する場合には、「ステップバイステップで考えよ」と促し、具体例を示すなどの工夫を施すことだ。
以下のテンプレートは、これらの原則を踏まえた汎用プロンプトの雛形であり、役割や内容を状況に応じて書き換えて使用できる。テンプレートの各パートは本文中で解説した要素と対応している。
あなたは【役割】です。
### タスク
【何をするか】
### 文脈
【誰に・なぜ・いつ】
### 例示
【期待する回答例(必要に応じて)】
### 出力形式
【箇条書き・表・文章など】
### 制約条件
【文字数、トーン、コンプライアンスなど】
この型に沿って指示を組み立てることで、AIは目的を誤解せずに適切なアウトプットを生成しやすくなる。また、生成した内容は必ず人間が確認し、誤情報や不適切な表現がないかチェックすることが重要だ。
【テンプレ付き】コンプラ遵守した「伝わる」メール作成術
日本のビジネスパーソンは1日平均約65通のメール送受信に約2時間半を費やし、業務時間の3割をメール対応に充てている。メールスキル向上の必要性を感じている人は8割を超えるものの、研修経験者は1割未満というのが現状だ。評価されるメールは礼儀や丁寧さより簡潔さと構成力が重視される。生成AIを活用するときは、宛先や目的、背景を具体的に伝え、コンプライアンスに反しないよう制約を明記する。以下のテンプレートは、取引先へ契約更新をお願いするメールを例に、本文中で解説した要素を落とし込んだものである。
以下のように「◯◯株式会社の担当者A様」と記載し、アウトプットを生成させると、個人情報や会社名を伏せた形で、アウトプットを生成することができる。最終化段階で、実際の個人名や会社名に変換すれば良い。
このテンプレートをベースに宛先や目的を置き換えれば、どんなメールでも応用できる。生成したメールは必ず人が読み直し、情報漏えいや文体の不整合を修正する。導入→目的→要望→締めの構成を守り、簡潔さと構成力を意識することが重要だ。
【テンプレ付き】論理性が高まる企画提案書作成術
企画提案書は調査や施策の設計図であり、調査手法より「なぜ行うのか」「何を明らかにするのか」が重要となる。目的や課題から外れると結果は単なるデータとなり価値はなくなってしまう。これを踏まえ、生成AIにアウトラインを作成させる際は、宛先、目的、背景を明示し、仮説や分析軸、期待する成果物を具体的に示す。
前述した通り、ステップを分けて考えさせると論理性が高まるというAIの特性を考慮して、「ステップバイステップで考えよ」と促すことが効果的だ。以下のテンプレートは、新規SNSマーケティング企画の提案書を例に、本文で説明した要素をそのまま反映させたものである。
あなたはマーケティングリサーチャーです。
### タスク
新規SNSマーケティング企画の提案書のアウトラインを作成してください。
### 文脈
・宛先:経営企画部長
・目的:若年層ユーザーの認知拡大とエンゲージメント向上
・背景:既存SNSでの反応が低迷しており、新しい施策を検討中
### 出力形式
①背景②目的③ターゲット④施策内容⑤KPI⑥スケジュール⑦予算の順に、各項目2~3行で箇条書き
### 制約条件
・専門用語は補足付きで記述する
・内容が推論を要する場合、Chain of Thoughtでステップバイステップに考え、必要なら仮定を置く
あなたはマーケティングリサーチャーです。
### タスク
新規SNSマーケティング企画の提案書のアウトラインを作成してください。
### 文脈(ダミー情報)
・宛先:経営企画部長
・会社:X Sports(スポーツウェアブランド)
・製品:ランニングシューズ「X-Runner Pro」 ・目的:18~24歳の学生・新社会人に向けたブランド認知拡大およびSNS上でのエンゲージメント向上
・背景:2025年7月末時点のInstagramフォロワー数は15,000、エンゲージメント率2.1%と、業界平均5.5%を大きく下回っている。主要競合Y社はTikTokでUGCチャレンジを実施し、フォロワー数30,000超、ハッシュタグ投稿数3,500件を獲得済み
### 出力形式
①背景
②目的
③ターゲット
④施策内容
⑤KPI
⑥スケジュール
⑦予算
の順に、各項目2~3行で箇条書き
### 制約条件
・専門用語は(用語+簡単な補足)で記述する
・内容が推論を要する場合はChain-of-Thoughtでステップバイステップに考え、必要なら仮定を置く
このテンプレートを土台に、施策内容や数値目標を補っていけば説得力ある企画書となるはずだ。複数案を比較する場合は、AIに複数アウトラインを生成させることもできる。
【テンプレ付き】調査報告書作成術、三層構造とAI要約活用術
報告書は標題・内容要旨・詳細内容の三層構造で情報を整理するのが基本であり、詳細内容から書き始めて要旨、標題とまとめていくと効率が良い。提出先により分量が異なる点には留意が必要だ。たとえば、経営トップにはA4用紙1枚、約200字で要旨と所見を伝える。部署内向けには要旨+2~3枚の詳細、顧客向けには要約と詳細を分け、正式な社名や役職名を正確に記載し法務チェックを行う。
文字量の目安として一言報告は50字、1分報告は200字、通常の報告書はA4で要旨1枚+詳細2~3枚とされる。
以下に、顧客向け調査報告書のドラフト作成に使えるテンプレートを示す。
あなたは報告書作成のプロです。
### タスク
顧客向け調査報告書のドラフトを作成してください。
### 文脈
・宛先:取引先企業の担当者
・目的:新製品の市場調査結果を報告し、次の提案につなげる
・データ:売上推移、顧客満足度、競合動向のサマリーがある
### 出力形式
1. 詳細内容:各データを200字以内×3項目で説明
2. 要旨:詳細内容から3つの重要なポイントを100字以内で要約
3. 標題:内容が一目で伝わるように20字以内で作成
### 制約条件
・「ですます調」で統一し、助詞の重複や句読点の位置に注意する
・報告書完成後、50字と200字の口頭説明文も用意する
このテンプレートにデータや目的を合わせて入力すれば、要約→詳細→標題の順で書きやすくなる。最後に自分で読み上げながら表現を整えると完成度が高まる。見栄えや文法のチェックは人が行い、必要に応じてAIに修正案を依頼すると良い。
以上、Word/Google DocumentのAI機能の手順からプロンプト設計、メール、企画書、報告書の具体的テンプレートまでを網羅した。生成AIツールに慣れていない人は、とにかく利用してみて、プロンプトごとの出力の違いを観察しつつ、AIモデルの性格を把握すると、より高い精度を実現できるはずだ。
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