• 2025/11/25 掲載

トランプ米大統領、科学研究加速の国家AIプロジェクト「Genesis Mission」を大統領令で始動

エネルギー、国家安全保障、電力網など重要分野でのAI応用を目指す

ビジネス+IT

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米国のトランプ大統領は2025年11月24日、連邦政府が保有する科学データと人工知能(AI)を活用して研究開発を飛躍的に進める国家プロジェクト「Genesis Mission」に関する大統領令に署名した。プロジェクトでは官民および大学・研究機関の連携を図り、エネルギー、国家安全保障、電力網など重要分野でのAI応用を目指している。
米国の大統領令によると、Genesis Missionは連邦政府が保有する膨大な科学データを一元化し、AIを用して実験設計からシミュレーション、モデリングを自動化することで、研究開発のサイクルを劇的に短縮することを目的としている。

このプロジェクトでは、まずU.S. Department of Energy(DOE)が主導し、同省傘下の国立研究所(ナショナル・ラボ)やスーパーコンピュータ、大学、民間企業と協働しながら、AIのためのデジタルプラットフォームの構築が指示された。

大統領令の中で、トランプ政権はこの取り組みを「1960~70年代の宇宙開発競争以来の科学資源の総動員」と位置づけており、エネルギー、国家安全保障、マイクロエレクトロニクス、核融合・核分裂、量子情報科学、生物工学など複数の分野においてAI活用を加速する意向を示している。

具体的な目標としては、AI基盤モデル(foundation models)をトレーニングし、研究実験を自動化・高速化することで、従来「数年」かかっていた発見を「数日あるいは数時間」で達成しうる仕組みをつくるという。例えば、タンパク質の折りたたみや融合プラズマのダイナミクスなどが挙げられている。

また、電力網のモダナイゼーション(近代化)やエネルギー産業における効率化も重要な応用先とされており、AIを用いたデータセンターやスーパーコンピュータ利用の増加に伴い電力需要の上昇・それによる電力料金負担・排出ガス増加といったリスクにも触れられている。政権側は「将来的には技術改善とインフラ拡充により単位あたりの電力コストは低減する」と説明している。

さらに、政府データ、大学や研究機関のデータ、民間企業のスーパーコンピュータ資源を活用するにあたり、国家安全保障関連データの保護に関しても留意し、アクセスレベルを「オープン」「専有」「国家安全保障用」といった区分で管理する仕組みが示唆されている。

この大統領令発出の背景には、世界的なAI競争において中国をはじめ他国に先行されることを避け、米国がAI研究・産業・安全保障の分野で優位を維持するというトランプ政権の戦略的判断がある。7月には「America’s AI Action Plan」も公表されており、今回のGenesis Missionはその具現化とも言える。

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