- 2025/09/12 掲載
「ミスりがち」なバイブコーディング、成功に必須のAIエージェント「強化策3選」とは(3/4)
AIエージェント強化を叶える「3つのルール」
生成AIを使ったバイブコーディングには複数の道具を多層的に組み合わせることでより精度が高い開発が可能になる。GPT-5など最新のLLMは単体でも小規模なプログラム開発やデバッグはかなり得意だ。しかし、10数から数1000の膨大なファイルで構成された複雑なアプリやサービスの作成は難しい。大規模なシステムで「要求された機能を実装する」「バグの原因を解明する」といった目標を試行錯誤しながら達成するために、開発用のAIエージェントが必要だ。SNSで人気の「Cursor」や「Claude Code」などのAIエージェントは、LLMが開発に使用できるファイル検索やエディタ、コード解析、Web検索などの開発ツールを持ち、それらを使い分けながら目標を達成するためのシステムプロンプトを内蔵している。
AIエージェントは、素のままでも単体のLLMよりも高度な開発能力を持つが、以下のような設定を行うことで、さらに能力を強化できる。
- 開発ルールの設定
- サブエージェントの設定
- MCPによるツールの拡張
■開発ルール
開発ルールはプロンプトの一種で、AIエージェントの振る舞いを細かく指定する。以下はその例だ。
「あなたはNext.jsとPayload CMS、drizzle、Shadcn/uiを使ったWebサービス開発の専門家です。要求された仕様に基づいてMVCとビジネスロジックを分離した設計書を作成し、システムの実装は設計書を参照しながらKent BeckのTDD(テスト駆動開発)の手順に沿って行ってください。」
上記は、AIの役割と使用する開発手法を定義している。これだけでもAIの開発能力は開発能力は向上する。
TDDは、機能ごとにテストを行いながら実装する手法で、AI開発に向いている。しかし、「TDDで開発して」と指定するだけでは、AIは上手に実行できない。TDDにはさまざまな解釈があるからだ。しかし、「Kent BeckのTDD」と提唱者名で指定すると、精度が劇的に向上することが確認されている。

「専門特化型」のAIエージェントとは
■サブエージェントサブエージェントは開発ルールをさらに細分化したプロンプトだ。開発で発生する仕事の種類別に、専門家を定義する。仕様分析と設計の専門家、テスト駆動開発の専門家、UIデザインの専門家、データベース設計の専門家、コードレビューの専門家、セキュリティの専門家、デバッグの専門家などを設定する。ユーザーが専門家を指定して作業を依頼する場合もあるが、Claude Codeは自分で使用する専門家を振り分けてくれる。
■MCPによるツールの拡張
MCP(Model Context Protocol)はAIエージェントが使用する開発ツールを増やす仕組みだ。実際には開発ツールのPCへのインストールと、MCPの設定の2段階で行う。現在、バイブコーディングで「AIが賢くなる」と評判の良いツールには以下のようなものがある。
- Brave Search、Tavily:AIのWeb検索能力を向上
- Sequential-Thinking:複雑な問題を分割して解決
- Desktop Commander:ファイル処理能力を向上
- Context7:言語やフレームワークの最新公式情報
- Serena、code-context:既存コードの分析と活用
- Cipher:効率の良い長期記憶
- Playwrite、Chrome-devtools:自動デバッグに使えるWebブラウザ
このほか、Superbaseなど使用するデータベースのMCPも必須だ。 【次ページ】ジャンル別の「専門家」定義
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