• 2025/10/09 掲載

BCGが解説…優秀な人材を「儲からない新規事業」で“無駄遣い”する事情(2/2)

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適切に撤退することで残せる「可能性」

 新規事業を撤退すべきタイミングを超えて継続した結果、推進チームもマネジメントも大変辛い経験をし、最終的に甚大な損失が出る形で終了すると、その事業領域に関しては組織として二度と思い出したくないトラウマ的な感情を持ってしまう。しかし新規事業が想定どおりに進まなくなるのは、取り掛かるタイミングが早すぎたり、不運な環境変化が起こったりすることが原因の場合もあり、機を改めてもう一度挑戦してみるべきものも存在する。

 再挑戦の機会があれば、違った環境で新たに獲得したアセットや強みを使ってチャレンジし、成功できるかもしれない。(トラウマになるほどの失敗経験となっていたら、無理に再度挑む必要はないだろうが)逆に言えば、やりすぎてしまうところまで行かずに適切に撤退すれば状況が変わったら再びチャレンジできるので、再挑戦への道を残すことになる。

実際に撤退を経て成功した、有名企業の事例

 実際に、あるタイミングでいったんは撤退して、その後同じ領域で再挑戦をして成功した事例は少なくない。よく言われるものとしては、スターバックスがオーストラリアに参入したものの地元に受け入れられず事実上撤退し、その後、現地企業との提携、商品のローカライズ、ターゲット顧客の見直しなどの工夫を施しつつ再チャレンジした例がある。

画像
新規事業撤退力を高める』をクリックすると購入ページに移動します
 商品・サービスではソニーの犬型ロボット「AIBO(アイボ)」の例も有名だ。1999年にペットロボットの先駆けとしてリリースされ、ソニーらしさを示すアイコン的存在として注目されたが、全社の業況悪化などが影響し撤退となった。しかし2018年、エンタテインメントロボット事業への再参入という戦略のもと、名称を小文字にした「aibo」として新たな技術も取り込み、進化させた形で復活した。

 これらの例は、ある時点では合理的に撤退し、機を見計らって、前回の経験を活かして再度チャレンジしているところが共通しており、再挑戦の余地を残しておくことの重要性を示している。

 撤退には多くの意義とメリットがあることは理解いただけただろう。撤退は極めて難しく辛い取り組みだとしても、適切に行えばその効用のほうが勝るため、必要なときには断行すべきものである。

※本記事は『新規事業撤退力を高める』を再構成したものです。

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