- 2025/11/21 掲載
【図解】なぜCursorの「AI開発」は失敗する?成功率爆上げの“3つの手順”(2/2)
【実践編】初心者でも大丈夫な「3ステップ」
では、実際にコンテクストエンジニアリングをどう実践するのか。特に初心者が取り組みやすい3つのステップを紹介しよう。■ステップ1:開発を始める前に「プロジェクトの方針書」をAIに渡す
開発を始める前に、シンプルなドキュメントを作ってAIに教えてあげる。これがすべての基盤になる。具体的に何を書くかというと、以下のような項目だ。
- このアプリは何のために作るのか
- 誰が使うのか
- 何ができるアプリか
- デザインのコンセプト
- 大切にしたいこと(安全性・高速性・使いやすさなど)
最初に「このプロジェクトの説明書です。これに沿って作ってください」と、このドキュメントをAIに渡す。すると、AIのコード生成の質が劇的に改善される。まさにこれが、コンテクストの力だ。
■ステップ2:やることを小分けにして、背景情報を毎回ちょっと加える
いきなり大きなアプリを作ろうとしてはいけない。「ログイン機能」「投稿機能」「検索機能」「プロフィール機能」といったふうに、タスクを細かく分けることが重要だ。
そして、それぞれの段階で指示を出すときに、ステップ1で説明したプロジェクトのコンセプトを毎回ちょっと加えるのだ。たとえば「次はログイン機能を作ります。ステップ1で説明したように『シンプルで安全に』お願いします。小学生でも分かる表示にしてください」というような具合である。
こうした背景情報を段階的に加えていくことで、AIが「あ、このプロジェクトのテーマは『シンプルで安全』なんだ」と段々と理解を深める。その結果、各機能が自然と一貫性を持つようになり、バラバラなコードが出てくる可能性が大幅に減るのだ。
■ステップ3:AIが作ったコードを見直すときは「なぜ直すのか」を説明する
完成したコードを見て、「ここは違う」と感じることは多々あるだろう。そのときこそ重要な局面だ。初心者がやりがちな失敗は、単に「XXを直して」と言ってしまうことである。これでは、AIは「何が問題なのか」を理解できない。
大切なのは「なぜ直す必要があるのか」という理由を、明確に説明することだ。たとえば「スマートフォンユーザーが圧倒的に多いプロジェクトだから、この部分は画面が小さくても見やすいデザインにしてください」というふうにである。
理由を伝えると、AIが「なるほど、このプロジェクトではスマホ対応が重要なんだ」と理解して、同じセッション内ではその方針を反映した出力を続けやすくなる。 このフィードバックのループが、長期的な開発の質を飛躍的に高める。
スピードだけじゃない「質も向上」のワケ
SNS的なアプリを作るという初心者を想像してみよう。コンテクストなしで開発した場合、投稿画面とプロフィール画面のデザインがバラバラになったり、削除操作の仕組みが不統一になったりする。完成はしたが、使い勝手が悪く、修正に何日も費やさなければならない。
一方、コンテクストエンジニアリングでやった場合はどうか。開発を始める前に「このアプリのデザイン思想:シンプルと統一性を重視する。すべての画面で操作方法は同じパターンを使う。小学生と社会人の両方が使うので、誰もが直感的に操作できることを最優先」と伝えておく。
すると、AIがその方針に沿って統一的なデザインや操作性を持ったコードを生成しやすくなる。 修正がほぼ不要で、短期間須で完成に至る。開発スピードだけでなく、完成品の質も段違いなのだ。
バイブコーディング失敗の「根本原因」
バイブコーディングが失敗する原因の多くは、「プログラミングの知識がない」ことではない。むしろ「AIに本当の意図がちゃんと伝わっていない」ことが根本的な問題なのだ。だからこそ、コンテクストエンジニアリングが重要になる。開発を始める前にプロジェクトの方針を準備する。やることを小分けにして背景情報を加える。修正するときは理由を説明する。こうした3つのステップを実践するだけで、開発は格段にスムーズになる。
正しく指示されれば、AIは力強い相棒になる。初心者であっても、完璧なプロンプトを作れなくても、十分な背景情報を提供することはできる。今回紹介した手法を使えば、プログラミング初心者でも長期的に本番運用できるアプリを作れるようになっていけるはずだ。
バイブコーディングに限らず、AIに仕事をさせて成功するかどうかは、もう「素人か玄人か」ではなく、「AIに正しく伝えるスキルを持っているか」で決まる時代なのである。
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