• 2025/12/30 掲載

【Salesforce】AIエージェント時代に必須「管理者スキル3選」、専門知識は何を学ぶ?

連載:イチからわかるSalesforce最強活用術

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生成AIの進化に伴い、「AIエージェント」への期待が高まってる。自律的にタスクをこなし、業務における「人の代替」を担うとも言われるAIエージェントだが、SalesforceにもAgentforceと呼ばれるAIエージェントが実装されている。それに伴い、Salesforce管理者の役割も、従来から変化を迎えているという。AgentforceがSalesforce管理者にもたらす変化について、「Salesforce MVP」で殿堂入りの実績を持つNTTテクノクロスの鈴木貞弘氏が解説する。
執筆:NTTテクノクロス 鈴木 貞弘

NTTテクノクロス 鈴木 貞弘

NTTテクノクロス株式会社 プリンシパルエバンジェリスト
入社時から大手量販店ECサイト構築や顧客のASPサービスの立ち上げにSEとして従事。 2007年の大手損保会社コールセンター更改案件を皮切りにCRMシステム関連業務に携わる。 2008年からSalesforce導入コンサルティング業務に関わり、2015年からはSalesforceのエバジェリストとして 技術情報の発信やSalesforceのユーザーグループやコミュニティでの活動に積極的に参加。 2017年に日本初となる非開発者系でのMVPを受賞し、2023年にMVPの殿堂入り。 2017年のDreamforceでは日本初のGolden Hoodie Awardを受賞するなど、業界内での認知度は非常に高い。

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セールスフォース管理者の役割とは
(Photo:frank333 / Shutterstock.com)

セールスフォースが発表した「新ビジョン」とは

 セールスフォースは、2025年10月に米国サンフランシスコで開催した、同社最大級のイベント「Dreamforce 2025」で、「Agentic Enterprise」という新たなビジョンを発表しました。

 Agentic Enterpriseとは、AIが人間の指示を待つのではなく、企業の目標に沿って自律的に業務を遂行する仕組みを持つ企業のことです。

 セールスフォースは同社のAIエージェントである「Agentforce」がSalesforceプラットフォームの完全な未来を形作るというメッセージを打ち出しており、Dreamforceでも「Agent360」など新たな技術が発表されています。

Agentforce「管理者の役割」はどう変わる?

 Agentforceによる定型業務の自動化は、現場の生産性を向上させるだけでなく、Salesforce管理者の役割を、単なる「テクノロジーの設定者」から、「ビジネス戦略の実現者」へと構造的に進化させます。では、ここからは、その変化について具体的に見ていきましょう。

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Salesforce管理者の役割はどう変わるのだろうか
(出典:筆者提供)

■役割の構造的転換:設定者から戦略的プロダクトマネージャーへ
 Salesforceは管理者の責任範囲に、従来の「セキュリティ、ユーザー管理、データ管理、アナリティクス」に加え、新たに「プロダクトマネジメント」を追加しました。これによりSalesforce管理者は、システムの「保守者」であるという伝統的な認識から脱却し、プラットフォームのロードマップと投資対効果(ROI)を定義する「リーダー」としての役割を正式に担うことになります。

■戦略的アドバイザーとしての業務へのシフト
 Dream force 2025で発表された「Setup Powered by Agentforce」によって定型作業が削減されることで、Salesforce管理者はより多くの時間を戦略的な活動に充てられるようになります。「Setup Powered by Agentforce」は、Salesforce管理者が設定画面で行う煩雑なクリック作業を、自然言語での指示で置き換えることができる機能です。

 この機能の導入により、今後、管理者に求められるのは、以下のような「戦略的アドバイザー」としての業務です。

  • ビジネス要件の深掘り:表面的な要望ではなく、根底にある課題を特定し、AIエージェントによる解決策を設計します。

  • 導入効果の測定と継続的改善:ユーザーフィードバックの収集と分析を通じて、AIの導入効果を定量化し、継続的な改善サイクルを構築する責任を負います。

■AI導入の潜在的な課題と緩和策(リスクマネジメントの強化)
 Agentic Enterpriseへの移行は革新的ですが、企業が直面する課題を無視できません。

 市場の調査では、95%の企業でAIパイロットが商用利用の段階に達せずにPoC(概念実証)のみで終了しています。その主な要因はデータ品質の不足、組織プロセスへの理解不足、統合の複雑さ、そして利用ユーザーへの浸透の問題です。

 Salesforce管理者がこれらの課題を克服するためには、以下の策の検討を推奨します。

課題カテゴリ 具体例 Salesforce管理者による緩和策 影響度
データ品質 重複データ、不整合 Data 360の統合、データクリーンアップの優先実行
プロセス理解 ドキュメントと実際のワークフローのギャップ プロセスインテリジェンスを活用したワークフローの可視化
ユーザーへの浸透 トレーニング不足、不信感 ロール別トレーニング、社内チャンピオンの育成
統合複雑さ ERP/外部システム連携 MuleSoftの使用と小規模パイロットでのテスト
セキュリティ PII漏えい、バイアス HITL設計、監査証跡の維持、AIガバナンスの確立
【次ページ】Agentic Enterprise時代に必須となる新しいスキルセット
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