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- 2025/09/09 掲載
SalesforceのAIエージェントが持つ「圧倒的強み」、リスクに備える「ある機能」とは
NTTテクノクロス株式会社 プリンシパルエバンジェリスト
入社時から大手量販店ECサイト構築や顧客のASPサービスの立ち上げにSEとして従事。
2007年の大手損保会社コールセンター更改案件を皮切りにCRMシステム関連業務に携わる。
2008年からSalesforce導入コンサルティング業務に関わり、2015年からはSalesforceのエバジェリストとして
技術情報の発信やSalesforceのユーザーグループやコミュニティでの活動に積極的に参加。
2017年に日本初となる非開発者系でのMVPを受賞し、2023年にMVPの殿堂入り。
2017年のDreamforceでは日本初のGolden Hoodie Awardを受賞するなど、業界内での認知度は非常に高い。
セールスフォース製「AIエージェント」のセキュリティは大丈夫?
AIの進化が凄まじい勢いで進む現在、ビジネスシーンにおいても、「AIエージェント」をはじめとしたAI活用の動きが顕著になっている。セールスフォースでもすでに自社のサービスに「Agentforce」と呼ばれるエージェント機能を搭載しているが、こうしたAI技術の導入に際して最も重要な留意点となるのが、顧客データや企業情報の取り扱いにおけるセキュリティとプライバシーの確保だ。

AIエージェントが企業情報にアクセスすることで最善のタスク処理を計画・実行する性質上、そのリスク管理は不可欠な課題として浮上してきていると言える。
この課題に対して、セールスフォースが強いコミットメントを示していることは、同社が掲げる5つのCore Valueの中で、「TRUST(信頼)」が最上位に位置付けられていることに象徴されており、顧客の信頼がSalesforceのビジネスの根幹であり、特に機密データを扱うクラウドサービスにおいてセキュリティとプライバシーが最優先されることが伺える。
また同社は、「Trusted AI原則」として、データの所有者は顧客であること、データレジデンスとコンプライアンス、プライバシー保護、組織単位、Built-inセキュリティ、倫理的デザインと実装を掲げており、これらはAI導入におけるセキュリティ戦略の強固な基盤となっている。
Saleforce独自の「AI環境」とは
では、Salesforceに搭載されているAIエージェントであるAgentforceは、ユーザーの安全のために、具体的にどんなアプローチが採用されているのだろうか。Agentforceに採用されているのが、多層的なセキュリティアプローチを採用した「Salesforce Trusted AI Architecture」と呼ばれるアーキテクチャーだ。
これは、アプリケーション層(Agentforce)、Einstein AI層(Einstein Trust Layer)、モデルエコシステム、Data Cloud、そして基盤となるHyperforceという複数の層で構成されており、各レイヤーでセキュリティが確保されることで、全体として堅牢なAI環境が提供される。
この多層防御アプローチは、サイバー攻撃の進化に対応するための戦略的な選択である。単一のセキュリティ層に依存せず、アプリケーションからインフラまで多層的にセキュリティを組み込むことで、一箇所の脆弱(ぜいじゃく)性が全体のリスクにつながることを防ぎ、システム全体のレジリエンスを高める。
各層のセキュリティ機能(例:Hyperforceの暗号化とTrust Layerのデータマスキング)は独立しているように見えるが、実際には相互に補完し合っており、データがシステム内を移動するあらゆる段階で保護される「エンドツーエンドのセキュリティ」が実現される。この多層防御は、企業がAI導入時に直面する複雑なセキュリティ要件(データ保護、コンプライアンス、リスク管理)に対して、包括的な解決策を提供し、導入後の運用負荷を軽減する効果があるのだ。 【次ページ】Salesforceの生成AIを「安心利用」できるワケ
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