【Salesforce】AIエージェント時代に必須「管理者スキル3選」、専門知識は何を学ぶ？(2/2)

連載：イチからわかるSalesforce最強活用術

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Salesforce MVPが解説「AIエージェント時代の必須能力」

　このように、管理者の役割が構造的に変化する中、新しいAIが業務を自律的に支援・実行する新しい仕組みで成功するためには、人間とAIが協調して顧客の成功を推進する必要があります。そのために必要なスキルセットについても見ていきましょう。

■AIガバナンスとリスク管理能力
　自律的なアクションを実行するエージェントの出現は、ガバナンスの複雑性を劇的に増大させます。Salesforce管理者の最も重要な新しい役割の1つは、Agentforceの信頼性を確保するためのAIガバナンスの確立です。

Data 360上のデータ品質とポリシーの管理：エージェントの行動はData 360上のデータ品質とポリシーに直接依存するため、Salesforce管理者はデータマスキング、アクセス制御、およびデータ利用ポリシーの実装に責任を負います。

監査トレイルの強化：Dreamforceのセキュリティ基調講演では、AIによる業務の自動化が新たな脅威を生むと強調しました。これに対応するため、プロセスインテリジェンスを活用した監査トレイルの強化が必要です。

Agentforce Builderでの監視能力：Agentforce Builderを使用してカスタムアクションを定義する際、そのアクションがセキュリティ境界を超えないか、監査証跡が適切に記録されているかを監視するスキルが必要となります。

■プロンプトエンジニアリングと高度な言語化スキル
　Setup Powered by AgentforceやAgentforce Vibesが、自然言語での指示をコアとする以上、Salesforce管理者にとって「何をすべきか」をAIに正確に伝える能力、すなわちプロンプトエンジニアリングは、不可欠なスキルとなります。

プロンプトエンジニアリングは単なる「質問の仕方」ではなく、AIが正しく理解し、期待通りの結果を出せるように指示を構成する能力です。

複雑な業務ロジックを論理的かつ創造的に言語化し、AIが生成するFlowや設定が意図通りに機能することを保証する技術が必要です。

Salesforce管理者は、曖昧な指示ではなく、要件、制約、望ましい出力形式を精密に定義することで、AIが生成するソリューションにおける誤った自動化や非効率な自動化の発生を防ぐ役割を担います。

■データ戦略との密接な連携：Data 360の活用
　Agentforceのパフォーマンスは、Data 360によって活性化されるリアルタイムデータに完全に依存します。したがって、Salesforce管理者はData 360の専門知識を深め、Data 360を介してエージェントに供給されるデータの統合と品質を担保する役割を担います。

データ統合プロセス、品質維持メカニズム、およびリアルタイムなデータ活性方法などのData360の専門知識が必要となります。

Salesforce管理者は、データアーキテクトと密接に連携し、AIエージェントが業務を正しく遂行するために必要な、信頼性の高いデータがData 360上に整備されていることを保証しなければなりません。

キャリアに有利？セールスフォースの「新資格」とは

　セールスフォースは、AIを活用した未来に向けた管理者の専門化の方向性を示すため、新しい認定資格「Salesforce認定 Agentforce スペシャリスト」を導入しました。この資格は、エージェントのライフサイクル全体を管理する専門家としての地位を確立します。

　この資格は、以下のスキルが必要です。

Agentforceの管理と最適化の責任を担い、エージェントの設計が可能

Agentforce Builderを使用したテストと検証、展開

パフォーマンス監視、およびガバナンスの維持

　この資格は、「Agentforce」を専門的に扱える管理者であることを証明するものです。従来の認定Platform管理者（Platform Administrator）の役割の上に、AI/Agenticシステムの運用と戦略的活用という専門的なレイヤーを追加するものであり、組織における管理者の戦略的価値を高め、キャリアアップの明確な経路を提供します。

Salesforce管理者が「今すぐ取り組むべき」行動指針

　Dreamforce 2025は、Salesforce管理者の役割が、従来の技術的設定業務を行う立場から、企業全体の戦略やAI活用の方針を設計・管理する役割へと本格的に移行することが明確に示されました。

　Agentforceによる定型業務の自動化は、管理者から業務を奪うものではなく、むしろ彼らの生産性と戦略的影響力を「増幅」させ、より価値の高い業務を行うための強力なレバレッジとなります。

　しかし、AIを導入した大多数の企業が商用段階への移行を円滑に行えていない現実を考慮しつつ、企業がAgentic Enterpriseへの移行を成功させるために、Salesforce管理者が直ちに取り組むべき行動指針の例を以下に示します。

Agent Enterpriseにおいて成功する管理者のコアコンピテンシー

（出典：筆者提供）

Salesforce管理者は戦略的プロダクトマネージャーへと役割を変えていく

（出典：筆者提供）

戦略的活動への時間の再配分：Setup Powered by Agentforceによって削減された時間を、即座に戦略的活動、すなわちビジネス要件の定義、プラットフォームのロードマップ策定、ユーザーフィードバックの分析、そしてROIの定量化などに振り分け、組織内での戦略的アドバイザーとしての役割を確立する。

AIガバナンス能力の確立とData 360の習熟：Data 360を通じたデータ品質とセキュリティポリシーの維持を最優先として確立する。特に、Agentforce Builderを使用したカスタムエージェントのセキュリティ境界設定に関する専門知識は必須とし、プロセスインテリジェンスを導入して失敗リスクを低減する。