• 2025/12/16 掲載

AIで生産性向上は“幻想”か? 米学術機関が示す「11の論点」と“格差”の未来

5
会員(無料)になると、いいね!でマイページに保存できます。
AIとICTはイノベーションの連鎖として緊密に並走してきた。ICTが経済にプラスの成果をもたらしたのは明白だが、AI導入の成果は現時点で未知数だ。期待が先行するなかで、奇抜な議論に振り回されず、冷静に見通す上でヒントになるのが、1990年代になされてきた“ある論争”だ。今回は、米国の学術機関である全米アカデミーズが提示した「AIに関する11の論点」と、生産性に関する4つの要因を手がかりに、AI導入の経済効果を考えてみよう。
執筆:九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠崎彰彦

九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠崎彰彦

九州大学大学院 経済学研究院 教授
九州大学経済学部卒業。九州大学博士(経済学)
1984年日本開発銀行入行。ニューヨーク駐在員、国際部調査役等を経て、1999年九州大学助教授、2004年教授就任。この間、経済企画庁調査局、ハーバード大学イェンチン研究所にて情報経済や企業投資分析に従事。情報化に関する審議会などの委員も数多く務めている。
■研究室のホームページはこちら■

インフォメーション・エコノミー: 情報化する経済社会の全体像
・著者:篠崎 彰彦
・定価:2,600円 (税抜)
・ページ数: 285ページ
・出版社: エヌティティ出版
・ISBN:978-4757123335
・発売日:2014年3月25日

photo
30年ぶりに再燃する“生産性論争”
(Photo/Shutterstock.com)

なぜAIで成果が出ない? ICTの“生産性論争”が示す謎解きの鍵

 AIの社会実装がさまざまな領域で進められるなか、「AIで仕事が奪われる」という極端な悲観論は影を潜めどう活用して成果をあげていくかに関心が集まっている。とはいえ、AIを導入すれば自動的にプラスの効果が得られるわけではない。

 そもそも、AIは本当にプラスの効果をもたらすのか、それともそれは幻想なのか、プラスの効果が得られるとすれば何が必要なのか。これらの点を考えるには、ICT導入の経済効果を巡って繰り広げられた「生産性論争」の知見が役立ちそうだ。

 前回解説したように、AIはたびたび「冬の時代」を迎えてICTとは明暗を分けたが、両者はイノベーションの連鎖として、緊密に並走してきた。新技術の導入による経済への影響という点でも、両者に通底する共通点が見いだせそうだ。

 同時に、ICTとAIでは技術面でも社会実装の面でも異なる特徴があるのも事実だ。両者の共通点と相違点は何なのか、今回は米国の学術機関である全米アカデミーズの分析を手がかりに、これらの点を考えてみよう。 【次ページ】米国を代表する学術機関が示す「AIで本当に起きる」11の現実
関連タグ タグをフォローすると最新情報が表示されます
あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

基本情報公開時のサンプル画像
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます

基本情報公開時のサンプル画像