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  • 2026/03/12 掲載

手塚治虫の遺産を守る──手塚眞が明かす「版権管理」「手塚作品×AI活用」の裏側

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”マンガの神様” 手塚治虫が亡くなった1989年。遺されたのは、数えきれない作品と、その著作権という巨大な“遺産”だった。版権管理をはじめ、記念館の設立、そしてAIによる手塚治虫作品の新作創出プロジェクトまで──創作の最前線に立ちながら、同時に巨匠の版権を守り、未来へつなぐ役割も担ってきたのが、長男・手塚眞氏である。今回は、手塚眞氏に知られざる版権管理の舞台裏と、創作活動とテクノロジーの最前線について聞いた。
聞き手・執筆:エンタメ社会学者 中山 淳雄

エンタメ社会学者 中山 淳雄

東京大学大学院修了(社会学専攻)。カナダのMcGill大学MBA修了。リクルートスタッフィング、DeNA、デロイトトーマツコンサルティングを経て、バンダイナムコスタジオでカナダ、マレーシアにてゲーム開発会社・アート会社を新規設立。2016年からブシロードインターナショナル社長としてシンガポールに駐在し、日本コンテンツ(カードゲーム、アニメ、ゲーム、プロレス、音楽、イベント)の海外展開を担当する。早稲田大学ビジネススクール非常勤講師、シンガポール南洋工科大学非常勤講師も歴任。2021年7月にエンタメの経済圏創出と再現性を追求する株式会社Re entertainmentを設立し、大学での研究と経営コンサルティングを行っている。『推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』(日経BP)、『オタク経済圏創世記』(日経BP)、『ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか』(PHPビジネス新書)など著書多数。

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ヴィジュアリスト
手塚眞 氏
高校時代から映画制作を始める。長編映画や短編、実験映像、テレビ番組、アニメ、MV、CGなど幅広い映像作品を手がける“ヴィジュアリスト”。1985年に『星くず兄弟の伝説』で商業映画監督デビュー。1999年発表の『白痴』はヴェネチア国際映画祭などで高く評価される。主な作品に『ブラックキス』(2004年)、『ばるぼら』(2019年)ほか多数。
※手塚治虫/手塚プロダクションの「塚」は、正しい表記は旧字体となります。

巨匠の遺産をつなぐ「版権管理」の仕事の裏側

──治虫さんは1989年、60歳で亡くなります。本当にそのギリギリまで作品を描きつづけ、最後の言葉が「頼むから、仕事をさせてくれ」だった、というのは最後までプロでありつづけた治虫さんらしい、同時に心が締め付けられるような話です。

手塚眞(以下、手塚)氏:あまりに早かったと思います。あの後は一時期、マンガ業界が意気消沈してしまった印象もありました。

 手塚プロとしても、もちろん社長の松谷孝征さんもいたのですが、いきなりの父の死に直面してしまい、「会社として、遺族の方にも入ってもらった方がいいだろう」という話になりました。そこで母と長男の僕が2人で取締役に就任し、手塚プロに関わることになりました。

 手塚プロの皆さんは、僕が小さい頃から知っているわけです。「眞くんだったらいいんじゃない?」という感じで、温かく迎え入れていただきました。

──手塚プロ側から呼ばれた形なのですね。治虫さんが残された膨大な仕事の後処理や権利の保全・運用など大変な作業があったのではないかと思います。同様のケースを見ますと、逆に「遺族が版権管理のために経営参画していくこと」が必ずしもいい方向にいかない場合もありますよね。

手塚氏:膨大な量というほどでもないのですが、1件1件前例のないことを処理していかないといけなかったので、そこは少し悩みました。

 たとえば、父が亡くなってから「追悼アニメ」とか「追悼全集」といった企画の話をたくさんいただきましたが、作品発表当時だったら問題にならなかったかもしれませんが、今なら差別に当たるような表現も作品の中にあるわけですよね。

 そうした表現などを「(治虫)本人が直すならともかく、僕らでは勝手には手は加えられない」ということで、ことわり書きや時代背景などに関する解説を入れながら、元の作品にあまり手を加えない落としどころを検討し、歴史的価値も損なわないよう調整をしたりもしました。このあたり、自分自身も作品を作るクリエイターであるため、間違った方向に傾くことはなかったのだと思います。

──治虫さんの後を追うように、マンガ第1世代の作家たちが早逝・引退する中で、1990~2000年代に「マンガ版権の世代継承」が起こっていきました。

手塚氏:そうですね、我々が最初だったと思います。逆に我々で決めた運用ルールが、その後、さまざまな著作の会社や遺族による運用の基準になっていきましたね。その前例はたぶん手塚プロで我々が作ったものが多いのではないかと思います。

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『ジャングル大帝』と『ライオンキング』の類似問題の真相

──そこでお聞きしたかったのですが、1995年にディズニー社が『ライオンキング』をアニメ発表した時に、治虫さんの『ジャングル大帝』との酷似が問題視されたことがありました。訴訟になるような事案だったと思いますが、当時はどのような心境だったのでしょうか?

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