- 2025/12/16 掲載
81プロデュースが音声AI企業と業務提携 声優の権利保護とAI活用の新展開を目指す
人間の演技とAIを併用した「ハイブリッド声優」の誕生も期待
近年、生成AI技術の発展により、声優の声を無断で学習させてAIが類似音声を生成するケースが増加し、声優業界で大きな課題となっている。こうした無断生成AIについては、声優や業界団体が利用ルールの整備や権利保護を求める共同声明を出すなど、適切なガイドラインを求める声が高まっている。特に、日本俳優連合や日本声優事業社協議会など複数の団体が「AIで生成された声を使用する場合、本人の許諾を得るべき」と訴え、AI活用と声優の権利保護を両立させる必要性を指摘している。
81プロデュースは1976年に創立され、「声」という要素を軸に声優の育成・マネジメントを行ってきた事務所であり、多数の人気声優が所属している。
その同社が音声AI企業と協業する背景には、AI時代における声優の専門性と権利を守りつつ、新たな表現やサービスの創出につなげる狙いがあるとみられている。
業務提携では、声優データの安全な取り扱いや契約面での条件整備が進められる見込みであり、声優本人や事務所がAI利用に納得した上で技術を導入する仕組み作りが重視される。提携企業はAI音声生成技術を提供し、許諾ベースでの生成音声の利用や、AIモデルの透明性、使用履歴の管理などの機能を検討するとみられる。
声優業界では、こうした取り組みにより「ハイブリッド声優」と呼ばれる人間の演技とAI技術を併用した新たな表現形式が生まれる可能性も期待されている。これは、従来の収録現場だけでなく、AIを活用した新たなコンテンツ制作や音声サービスなど、多様な活動領域の拡大につながる可能性を含んでいる。
一方で、生成AIに関する法的な枠組みは未整備の部分が多く、声そのものが著作物として明確に保護される法律は存在しないという指摘もある。声優団体が政府や業界に対してルール策定を働きかけているのも、このような背景があるためだ。
今回の業務提携は、声優の権利保護とAI技術の利活用を両立させるモデルケースとして、声優・エンターテインメント業界全体の取り組みの一環として注目されている。今後の具体的な実装内容や業界への波及効果について、引き続き業界内外での議論が進む見込みである。
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