- 2025/12/16 掲載
NVIDIAが新たなオープンソースAIモデル「Nemotron 3」を発表
協調型AIエージェントシステムに対応、ソブリン AI や企業のカスタマイズAIのニーズに対応
公式発表によれば、これらは革新的なハイブリッド潜在Mixture-of-Experts(MoE)アーキテクチャを採用し、前世代モデルに比べて推論効率やトークンスループットが大幅に向上している。Nanoモデルでは従来比で最大4倍のスループット向上が確認されている。
各モデルは用途に応じて性能を最適化している。Nanoは低コストで効率的な推論を重視し、ソフトウェアデバッグ、情報検索、コンテンツ自動生成などの一般的な生成タスクに適する。Superは高精度な推論と中規模エージェント型AIへの対応を目指し、Ultraは複雑で大規模なAIワークフローを処理する高度な推論エンジンとして位置づけられている。
これらのモデルはマルチステップ推論・長コンテキスト処理・複雑なワークフロー対応を強化しており、AIエージェントの協調動作や高度な推論タスクに適した設計となっている。
NVIDIAはこれらのモデルをオープンソースとして提供すると同時に、トレーニングデータや開発ツールも公開する意向を示している。この透明性によりセキュリティ検証やカスタマイズが可能になり、政府機関や企業が用途に応じて利用できるとされる。
中国のAI企業が生成AIのオープンモデルを次々と公開している動きを受けて新モデルを発表したとの指摘もある。DeepSeekやMoonshot AI、Alibabaなどのモデルが世界的に利用される事例が増えており、NVIDIAはこの流れを踏まえつつ「オープンなAIエコシステム」での存在感を強める形となった。米国内の一部政府機関では中国系モデルの利用が安全保障上の理由から禁止されているため、NVIDIAのオープンモデルはこうした需要にも応える可能性があると報じられている。
またNVIDIAはオープンソース戦略の一環として、AIソフトウェア企業「SchedMD」も買収し、同社のオープンソースジョブスケジューラ「Slurm」技術をAIインフラ基盤に取り込むことでエコシステム全体の強化を進めている。買収後もSlurmは引き続きオープンソースとして提供されるとしている。
この動きは、従来はGPUチップのサプライヤーとして知られたNVIDIAが、AIモデル開発の主要プロバイダーとしての存在感を高める戦略の一環だと評価されている。WIREDなどの報道では、NVIDIAが自社のオープンモデル群を通じて単なるハードウェア供給者からモデル作成企業へと立場を進化させていると指摘されている。
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