AnthropicがSnowflakeおよびAccentureとの提携を拡大、エンタープライズAI展開を強化

米AI企業のAnthropicは、クラウドデータプラットフォーム企業Snowflakeとの戦略的パートナーシップを大幅に拡大し、複数年・2億ドル（約280億円）規模の協力契約を締結した。今回の提携によってAnthropicの大規模言語モデル「Claude」は、SnowflakeのAIデータクラウドサービス上で12,600社以上のグローバル顧客に提供される見込みであり、Snowflakeの「Snowflake Cortex AI」や「Snowflake Intelligence」と連携して企業向けのエージェント型AIを構築する基盤となる。

両社は高度な推論能力を持つAIエージェントを企業が保有する構造化データや非構造化データと統合し、複雑な分析やインサイト活用を可能にする共同のグローバルGo-to-Market戦略を展開するとしている。ClaudeとSnowflakeの統合は、機密性の高い企業データを安全な環境で処理しながらAI機能を実行する設計となっており、規制産業を含む多様な業界での本番導入を支援することが想定されている。

一方、ITコンサルティング大手のAccentureとAnthropicは、企業がAIの試験運用から本格的な展開へ移行できるよう支援するため、複数年にわたる戦略的パートナーシップを発表した。両社は「Accenture Anthropic Business Group」を新設し、約30,000人のAccenture専門家がAnthropicのClaudeに関するトレーニングを受ける体制を整える。これにより、AnthropicのAIモデルの実装と活用を加速させるための大規模な人材育成、ソリューション開発、サービス提供の基盤が構築される。両社はこの専門組織を通じて、産業別のニーズに対応するAIソリューションや、AI導入の効果測定・全社展開を支援する共同提供サービスを提供する計画だとしている。

Accenture側の公式発表では、今回の拡大提携により企業がAIパイロットプロジェクトから企業全体のAI導入を推進する際の障壁を低減し、実運用フェーズへ移行する支援が可能になると説明されている。また、金融サービス、ライフサイエンス、ヘルスケア、公的機関など規制要件が厳しい分野に特化した共同ソリューションの開発にも着手するという。Claudeの統合と教育体制の構築によって、企業は責任あるAIの活用を進めやすくなるとする見方が出ている。

SnowflakeとAccentureの提携についても、データとAIの統合的な活用を通じて企業が事業モデルを再構築する支援が進められている。SnowflakeとAccentureは共同で「Accenture Snowflake Business Group」を設立し、SnowflakeのAIデータクラウド機能とAccentureのAIソリューション提供能力を組み合わせて、大企業のAI導入とデータ戦略の推進を支援する。Caterpillarなどの企業がこの連携によって高精度な洞察や効率化を実現しているという事例も報告されている。

これらの動きは、企業が生成AIやエージェント型AIをデータ資産と結び付けて活用する流れが進む中、AIモデル提供企業とクラウドデータサービス企業、コンサルティング企業が協力することで、エンタープライズAIの実装とスケール展開を加速する方向性を示している。提携拡大によって、人材育成から実運用支援までの包括的な支援体系が構築されることで、企業のAI導入がより迅速かつ安全に進むことが期待される。