- 2025/12/25 掲載
NEXTエヌビディアのAI半導体企業「セレブラス」IPO再申請へ 2026年第2四半期上場を目指す
独自のウェハースケールエンジンで、AI推論の学習効率向上を実現
セレブラスの半導体が注目されている理由は、シリコンウェハー1枚全体を1つの巨大なプロセッサとして用いるWSEの独自設計にある。これにより、数万規模の演算コアと大容量メモリを単一チップ内に集約し、AI学習時のデータ通信を最小限に抑えられる点が特徴だ。特に大規模言語モデルでは、複数チップ間通信が不要となり、学習効率の向上が期待されている。一方、NVIDIAのGPUは小型チップを多数接続するスケールアウト型で、AI以外も含む幅広い用途と成熟したソフトウェア基盤を強みとする。セレブラスはAI特化型、NVIDIAは汎用型という設計思想の違いが明確である。
今回のIPO再申請計画は、2025年10月に同社がIPO申請を取り下げた後の動きだ。前年の2024年にはSECへIPOの目論見書(S-1)を提出したものの、申請直後の資金調達で81億ドル相当の企業評価と約11億ドルの資金調達を行った後に申請取り下げを発表した。この取り下げについて、同社経営陣は申請書が急速な技術進展に対応できていなかったとしており、IPOの意図自体は維持する姿勢を示していた。
IPO申請取り下げの背景としては、外国投資に関する米国内の安全保障審査が関与したことが報じられている。特にアラブ首長国連邦(UAE)系の投資会社G42が同社の主要株主かつ大口顧客でもあったことから、対米外国投資委員会(CFIUS)が審査を実施し、当初のIPO計画に影響を与えたとされていた。複数メディア報道では、この審査がIPOスケジュールの遅延につながった要因として指摘されている。
一部報道によれば、新たな申請に向けて準備している書類ではG42が投資家リストから除かれているという情報もあり、安全保障上の懸念を軽減した形での再申請を進めている可能性が伝えられている。関係者筋は、早ければ2025年末の申請、2026年第2四半期の上場を目標としていると述べている。
セレブラスのIPO再挑戦は、AI関連企業の資金調達環境の中で注目される事例となっている。AIハードウェアへの投資意欲は継続して高いとされる一方で、国家安全保障や地政学の影響がテクノロジー企業の上場計画にも影を落としていることが示されている。IPOが実現すれば、同社は主要なAI半導体企業として株式市場に登場し、競争環境や資金調達環境に新たな影響を与える可能性がある。
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