- 2025/12/22 掲載
元エヌビディア幹部創業の中国AI半導体企業「Moore Threads」AI向け新GPU発表
AIプラットフォーム「MUSA」が進化、Nvidiaの「CUDA」システムに対抗
同時にMoore Threadsは、GPUのハードウェアだけでなく、ソフトウェアエコシステムとして「MUSA」プラットフォームの存在を重視している。MUSAは並列計算とAIワークロード向けのソフトウェアスタックで、ライブラリやツールを含み、既存のCUDAベースのコードを移植するためのツールも備えるとされる。こうした取り組みは、NVIDIAが長年にわたり支配してきたCUDAエコシステムに対する中国初の実用的な代替環境を目指すものであり、中国国内の開発者や企業が米国依存から離れて自国製GPUの利用を進めるうえで重要な役割を担う可能性がある。
Moore Threadsは2025年12月初旬に上海証券取引所のハイテク新興企業向け市場「科創板」でIPOを実施し、その株価は終値で公開価格を大幅に上回る急騰を見せ、中国国内では大きな注目を集めた。こうした株価の伸びは、中国政府が半導体自給自足を戦略的目標として掲げるなか、国産AIチップへの期待感の高まりを反映している。
Moore Threadsの技術イニシアチブは、中国国内でのAIインフラ構築とエコシステム形成を促進する狙いも持つ。特に、DeepSeekや他のAIモデルが同社のGPU上で動作する事例が出てきており、AI推論・学習におけるエヌビディア製ハードウェアへの依存減少の可能性が意識され始めているとの指摘もある。
中国のAIチップ市場では、Moore Threadsを含む複数の国内企業が技術開発と資金調達を進めている。直近では別のGPU系企業であるMetaX Integrated Circuitsも上海でのIPOで株価が大幅上昇し、投資家の関心を集めている。これらIPOの動きは、中国内での米国大手企業(NvidiaやAMD)への依存からの脱却を目指す戦略的な文脈に位置付けられている。
ただし、中国の半導体業界が短期間で技術格差を埋められるかについては、市場関係者の間でも見方が分かれている。特定の製品やアーキテクチャが国際競争力を持つには、設計だけでなく製造工程の高度化やソフトウェア・エコシステムの成熟が必要となるため、長期的な努力が不可欠であるとの分析がある。こうした点は、中国の技術自立政策の実効性を評価するうえで今後の焦点となる。
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