- 2026/01/30 掲載
【保存版】「AIの本気」を引き出せる組織・そうでない組織の“決定的な違い”(2/3)
【核心】AIの“本気”を引き出すのは「プロンプト」ではない
生成AIを効果的に使うには、指示文(プロンプト)の工夫以上に「思考の設計力」が重要です。思考の設計力とは、具体的に言い換えると、背景・目的・問い・仮説・アプローチ・アウトプットを整理しながらAIを動かす力です(図表3)。
たとえば、新規事業の方向性を検討するケースを考えてみましょう。
- これまで既存顧客を中心に安定的に成長してきましたが、市場の成長鈍化と競合のスピード化が進み、成長ドライバーの再定義が必要になっています(背景)。
- そのため、複数の事業方向性を比較検討し、将来的な提携や投資判断につなげたいと考えています(目的)。
- そこでAIには、他社がどの領域で変革を進めているのか、また自社が変革を進める上でどの領域に重点を置くべきかを明らかにしてほしいと伝えます(問い)。
- 現時点では、品質よりもスピードが重視され、サービス提供の迅速化が競争優位を左右していると考えています。そのため、拠点網や人員配置の柔軟性が鍵であり、自社単独では対応しきれないため×××社との提携が必要ではないかと仮定しています(仮説)。
- これを踏まえ、既存延長の戦略だけでなく、海外での先行事例も参照しながら変革に向けた複数のシナリオを整理するよう依頼します(アプローチ)。
- 最終的には、海外事例を含む3つのシナリオについて、顧客ターゲット・提供価値・必要なケイパビリティ・実行ステップを表形式で比較し、その要点をNarrativeで解説する形で出力してほしい、と指示します(アウトプット)。
このように、依頼内容を背景・目的・問い・仮説・アプローチ・アウトプットと整理するだけで、AIの回答の質は格段に上がります。
実際、同じテーマを扱っても、思考の整理度によってAIの出力の精度は大きく変わります。もちろん、スピードを優先する場面ではここまで整理せずに質問することも有効です。ただし、「どのようにAIを導くか」という視点を持つことで、同じツールでも結果の質が大きく変わることを意識しておくと良いでしょう。
【図解】「個人任せ」では失敗…組織に浸透させる“王道手順”
組織としては、こうしたスキルを個人任せにせず体系的に育成することが重要です。ですが、生成AIの業務での適用範囲や活用方法はさまざまなため、マニュアルだけでは対応しきれないことが多いのが実情です。生成AI導入の効果をより波及させるために、影響力・関心・スキルを持ったキーパーソンを指名し、推進組織の一員としてナレッジや成功事例を共有していくような取り組みも先行企業では実施されています(図表4)。
なお、こうした普及活動を進める上では、ガバナンスの設計も欠かせません。PwC Japanグループの調査では、AIガバナンスを整備した企業ほど、意思決定の透明性や経営説明力の向上に効果を感じている一方で、過度な統制が現場のスピードや柔軟な対応を損なうリスクも指摘されています。
生成AIのように技術進化が速い領域では、リスクを一律に抑え込むのではなく、業務の重要度や影響度に応じてルールや承認プロセスを分けることが、競争力と統制を両立させる現実的なアプローチとなります。 【次ページ】【図解】生成AIで「任せる仕事」「人が担う仕事」
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