- 2026/02/26 掲載
1,000億円市場が見えた!?「VRChat」にサンリオや大丸松坂屋が注力する納得の理由(2/3)
大丸松坂屋は「VRChat」でどう稼ぐ? 勝つための戦略全貌
大丸は1717年、松坂屋は1611年創業。江戸時代から400年以上、日本の消費文化を支えてきた老舗百貨店だ。VRChatに参入した理由は、コロナ禍をきっかけにした新規事業開発だった。同社は2023年からアバターをリリースし、計12体を展開している。江戸時代の着物など文化財を収蔵する「松坂屋コレクション」をVRで再現するプロジェクトも進行中だ。
なぜVRChatなのか。それは彼ら百貨店がクリエイターと消費者をつないできたことにある、と同社DX推進部の岡﨑路易氏は説明する。
1953年10月、大丸はクリスチャン・ディオールと独占契約を結び、日本初となる海外デザイナーとの提携ファッションショーを開催した。終戦から10年も経っていない時代。まだ経済復興の途上で、海外ファッションなど日本では馴染みがなかった。そこから新しい消費文化が定着し、百貨店は小売市場で重要なポジションを占めるようになった。
「70年後の今、私たちは同じことをやっている」
未来のラグジュアリーブランドを担うデザイナーは、アバターを制作する現場から生まれてくるかもしれない。それが大丸松坂屋の読みだ。
あの玩具とVRChatは「相性バツグン」?
1969年創刊、55年の歴史を持つ雑誌社ホビージャパン。1980年代のガンプラブームのきっかけを作り、シミュレーションゲームを日本に紹介するなど、日本のホビーシーンで重要な役割を果たしてきた。同社の営業部クロスメディア課の時津弘氏は、なぜVRChatなのかをこう説明した。「ガンプラって、手で触って遊ぶものじゃないですか。写真だとかっこいい絵は撮れるけど、大きさがわからない。どこが動くかもわからない。でもVRなら、大きさも可動域も体感できるのです」(時津氏)
2026年3月20日から、VRChat上で「バーチャルホビーフェス2026」が開催される。会期は17日間。プラモデル、フィギュア、エアガン/モデルガンなどを"バーチャルならではの巨大スケール"で展示し、24時間アクセス可能だ。
参加企業として発表されたのは、マクロスモデラーズ各社(青島文化教材社、ウェーブ、ハセガワ、BANDAI SPIRITS、フジミ模型、マックスファクトリー)に加え、タカラトミー、メガハウス、トミーテックなど。マクロスに加えてトランスフォーマー、ゾイドといった人気IPが一堂に会する。
「VRChatには若いユーザーが多いです。10代、20代が非常に多くて、そういう若い人が集まる場所は最近少ないのです。ホビーイベントをやっても40代50代が来ることが多いので」と時津氏は話す。若年層の取り込みはどの業界もテーマだが、日本の玩具系メーカーがVRChatに参入する契機となりそうだ。
サンリオ「バーチャルピューロランド」が“期待大”なワケ
2021年からバーチャルピューロランドでバーチャルフェスを開催してきたサンリオ。2025年7月28日には、初音ミクなどの人気IPとVR/ARビジネスを繋げてきたGugenkaを子会社化した。両社が手を組み、バーチャルピューロランドは2025年12月11日から常設化された。サンリオ常務執行役員の濵崎皓介氏はVRChatへの未来への目線を語る。
「ピューロランドは何年で黒字化したと思いますか? 10数年です。でも30年かけて磨き上げた結果、今は本当にいい施設になっています。1回始めたらその覚悟でやり続けることが大事です」(濱崎氏)
その上で濱崎氏はバーチャルピューロランドのメリットをこう説明する。
「リアルのピューロランドは年間来場者数140万人弱。でもテーマパークは商圏ビジネスなんです。関東圏内で、日本でしかできない。それに対してVRは商圏がグローバルで無限。オープン時間も24時間です。年間500万人ぐらい来場してほしいと考えています」(濱崎氏)
サンリオは独自の経営指標として「サンリオ時間」を掲げている。人々が日常生活の中でサンリオキャラクターと接触する時間の総量だ。仕事中にキティちゃんのボールペンを使うような「寄り添い時間」と、コンテンツを積極的に楽しむ「夢中時間」の2つがある。2025年3月期実績は1,140億時間で、2035年までに年間3,000億時間を目指す。
バーチャルピューロランドは年間100万時間の「夢中時間」を創出している。リアルのテーマパーク体験(1,400万時間)と比べればまだ小さいが、消防法による来場者上限がないVRは伸びしろが大きい。居場所を提供するVRChat=サードプレースの典型的な利用モデルとも言える。 【次ページ】VRChatの「中の人」が語る“現在地”
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