- 2026/02/26 掲載
1,000億円市場が見えた!?「VRChat」にサンリオや大丸松坂屋が注力する納得の理由
1963年生まれ。Webコンサルタント、プロデューサー、編集者、ライター、エンジニア。90年代のIT雑誌を皮切りにWebクチコミサイト、SNS、電子書籍出版システム、ニュースメディアのグロースなどで、時代を先取りしてきた。
VRChatの祭典で見た「進化」
「メタバースの代表」だが利用のハードルが高い──そんなVRChatのイメージが変わりつつある。2025年にはiOS/Android対応のスマホ版が正式リリースされた。PCではWebカメラを使った上半身モーションキャプチャーが可能になり、PC単体でもインタラクティブな体験の幅が広がった。2025年12月17日には、東京・秋葉原で日本で初めて公式のビジネスカンファレンス「VRChat Japan Business Experience 2025」が開催された。協賛は約60社、参加者は延べ1690名(事前登録約750名)。大丸松坂屋、サンリオ、ピクシブ、ホビージャパンなど業種の異なる企業が一堂に会した。
VRChat VP of Product, Design & ProductionのCasey Wilms氏は基調講演で、VRChatを「第3の場所(Third Place)」だとした。野球場や映画館、行きつけのバーと同じ、家でも職場でもない自分らしくいられる場所だ。
VRChatでは、さまざまな「居場所」となるワールドがユーザーによって作られている。象徴的なのが「NAGiSA」だ。1対1の会話を5分間だけランダムに体験できるワールドで、「知らない人と話すのが難しい」初心者のハードルを減らす目的で設立され、累計来場者は延べ200万人を超えて法人化された。飲み屋街を模したワールド「ポピー横丁」も人気で、多くのユーザーがバーチャルビールを飲みながら(時には同時に本物の酒を飲みながら)おしゃべりを楽しんでいる。こういう場所に人々は何度も戻ってくる。
日本人が「VRChat」にお金注ぎ込む理由、文化的相性も…?
VRChatはクリエイターを大切にするプラットフォームだ。ユーザーがワールドを作り、アバターを作り、衣装を作る。それが、世界でも突出した創作文化である日本のマンガ・アニメ・ゲーム系の同人文化との相性が極めて良い。VRChatの日本のクリエイター数は、世界の残りの国のクリエイター数を合わせたよりも多いという。ピクシブのCPO(最高プロダクト責任者)である清水智雄氏は、運営するクリエイター向けマーケットプレイス「BOOTH」の2024年の3Dモデルカテゴリ取扱高は58億円(前年比約187%)に到達したと発表。その後、2025年は取扱高104億円(前年比179%)とアナウンスされた。注文件数は774万件、注文者数は28万人超。2024年夏に人気YouTuberがVRChatを紹介した「スタンミショック」依頼、「3Dモデルへの関心は一時的な盛り上がりにとどまらず、その後も高い水準を保ったまま推移」している(「BOOTH 3Dモデルカテゴリ取引白書2026」 より)。過去6年の平均成長率が維持された場合、2029年には1000億円市場となる計算だ。この数字を支える中心は、VRChatで使われるアバターや衣装だ。
居心地の良い居場所があり、優れたクリエイターが集まり、そこにアバターファッションを楽しむ文化が定着した。アンドエスティ、BEAMS、大丸松坂屋などがリアルのビジネスからアバターファッションに参入している。BOOTHの売上や企業からの発注で、3Dモデルクリエイターがアルバイトせずに生計を立てる道もできた。 【次ページ】大丸らがVRChatに見出した「70年前との共通点」
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