• 2026/04/28 掲載

「AI導入」で負ける企業は何が違う? ベイン日本代表が突きつける“残酷な差”(3/3)

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リーダーの好奇心が、組織の変化速度を決める

 ベインでは「リバースメンタリング」を実践している。通常はシニアが若手を指導するが、AIに関しては若手がシニアに使い方を教える。この“教わる側に回れるか”が、リーダーの好奇心を測る試金石になる。

 マイケルズ氏自身も、ChatGPTの音声機能を使い、日本語のチューターとして活用しているという。ところが、経営者との会話では「そんなことができるのですか」と驚かれることが少なくない。すでに存在している変化に経営層が触れていない。その事実自体が、組織の遅れを象徴している。

「スケールとスピードの関係で言えば、今スピードが組織にとってより重要になっている。個人レベルでは、好奇心がますます重要になっている」(マイケルズ氏)

 この言葉は重い。AI時代に問われているのは、技術への理解の深さだけではない。変化を避けず、自ら学び、自分の前提を更新できるかどうかだ。リーダーが新しいものに触れず、若い世代から学ばず、自分の行動を変えないままであれば、組織もまた変わらない。

 AIは、企業の弱点をあぶり出す鏡でもある。意思決定の遅さ、優先順位を決められない弱さ、部門最適に逃げる構造、完璧主義に隠れた先送り。そうした癖を、AIは容赦なく露出させる。だから、AI時代に勝つ企業と負ける企業の差は、モデルの選定やツールの導入だけではつかない。経営陣がそれを「技術の話」として処理するのか、「自社の競争力を作り変える話」として引き受けるのか。その差が、数年後に決定的な差になる。

AI時代に問われているのは、技術力ではなく経営の覚悟だ

 DXであれAIであれ、やるべきことの本質は実はあまり変わらない。自社の強みを見極め、どこに賭けるかを決め、組織を動かし、変化に合わせてカルチャーを変えていく。それを、これまで以上のスピードでやれるかどうかが問われている。

 AIは便利なツールである前に、経営の残酷さを可視化する存在でもある。何を優先するのか。何をやめるのか。どこで速く試し、どこで品質を作り込むのか。その順番を決めるのは、現場ではなく経営である。多くの日本企業には強みがある。だが、その強みを活かす前に出遅れれば意味がない。

 マイケルズ氏の父親である歯科医は、当初は息子の仕事の価値を十分に理解できていなかったという。しかし、コンサルタントという仕事が、企業の難しい課題に向き合い、難題に立ち向かう経営者の意思決定を支える役割であると理解したときに、こう語った。

「難題に立ち向かうからこそリーダーなのだ。それが、この仕事の価値なのだ」

 AIは、まさにその難題である。

 そしていま問われているのは、企業がAIを使えるかどうかではない。経営者が、その難題から逃げないかどうかである。

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