- 2026/09/12 11:00 掲載
米GoogleDeepMindがヒトゲノムの変異影響を予測する「AlphaGenome Atlas」発表
約90億通りの変異データを1ペタバイト規模で集約
今回公開されたAlphaGenome Atlasは、同社が2026年1月に英科学誌ネイチャーで発表したAIモデルAlphaGenomeを活用し、ヒトゲノムで生じ得る約90億通りの一塩基変異の影響を網羅的に事前計算したデータベースである。データ規模は約1ペタバイトに達し、同社のタンパク質構造データベースAlphaFold Databaseの30倍以上の容量を有する。
本データベースには、変異の影響度を判定する統合指標AlphaGenome Variant Impact(AVI)スコアが導入された。AVIスコアは、遺伝子発現やRNAスプライシングなど非コード領域の予測値と、タンパク質構造への影響を予測するAlphaMissenseの出力を統合し、単一の数値として提示する。研究者は変異の重篤度を迅速に比較できるだけでなく、影響がスプライシングの異常によるものか転写因子の結合阻害によるものかといった分子機構も分解して確認できる。
すでに学術機関との共同研究で実証成果が得られている。米ブロード研究所などのチームは、原因不明だった難治性てんかん患者のゲノムからDNM1遺伝子の非コード変異を特定し、異常なスプライシングが生じる機序を解明した。またUKバイオバンクのデータ解析では、肥満度や血中タンパク質レベルに関連する新たなゲノム制御領域が同定された。
AlphaGenome Atlasはプログラミングを必要としないウェブ画面から学術研究向けに無償提供される。今後はクラウド経由での商用展開も計画されており、希少疾患の診断支援や創薬研究を後押しする基盤として注目されている。
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