• 2026/09/12 11:00 掲載

米GoogleDeepMindがヒトゲノムの変異影響を予測する「AlphaGenome Atlas」発表

約90億通りの変異データを1ペタバイト規模で集約

会員(無料)になると、いいね!でマイページに保存できます。
米グーグル・ディープマインドは2026年9月8日、ヒトゲノムで生じ得るすべての1塩基変異について、分子生物学的な影響をAIで網羅的に事前予測したデータベース「AlphaGenome Atlas」を公開した。約90億通りの変異データを1ペタバイト規模で集約し、機能解明が難しかった非コード領域を含むゲノム全体の変異影響を無償で検索できる基盤を提供する。
 ヒトゲノムは約30億個の塩基対で構成されるが、タンパク質の設計図となる領域は約2%にとどまり、残る約98%の非コード領域は遺伝子発現などを制御するものの、変異が及ぼす影響の解明が極めて困難だった。実験室ですべての変異を検証することは現実的に不可能なため、計算科学による網羅的な予測手法が求められていた。

 今回公開されたAlphaGenome Atlasは、同社が2026年1月に英科学誌ネイチャーで発表したAIモデルAlphaGenomeを活用し、ヒトゲノムで生じ得る約90億通りの一塩基変異の影響を網羅的に事前計算したデータベースである。データ規模は約1ペタバイトに達し、同社のタンパク質構造データベースAlphaFold Databaseの30倍以上の容量を有する。

画像
【図版付き記事はこちら】GoogleDeepMindヒトゲノムの変異影響を予測する「AlphaGenome Atlas」発表(画像:ビジネス+IT)
 本データベースには、変異の影響度を判定する統合指標AlphaGenome Variant Impact(AVI)スコアが導入された。AVIスコアは、遺伝子発現やRNAスプライシングなど非コード領域の予測値と、タンパク質構造への影響を予測するAlphaMissenseの出力を統合し、単一の数値として提示する。研究者は変異の重篤度を迅速に比較できるだけでなく、影響がスプライシングの異常によるものか転写因子の結合阻害によるものかといった分子機構も分解して確認できる。

 すでに学術機関との共同研究で実証成果が得られている。米ブロード研究所などのチームは、原因不明だった難治性てんかん患者のゲノムからDNM1遺伝子の非コード変異を特定し、異常なスプライシングが生じる機序を解明した。またUKバイオバンクのデータ解析では、肥満度や血中タンパク質レベルに関連する新たなゲノム制御領域が同定された。

 AlphaGenome Atlasはプログラミングを必要としないウェブ画面から学術研究向けに無償提供される。今後はクラウド経由での商用展開も計画されており、希少疾患の診断支援や創薬研究を後押しする基盤として注目されている。

Googleで見つけやすく

評価する

いいね!でぜひ著者を応援してください

  • 0

会員(無料)になると、いいね!でマイページに保存できます。

共有する

  • 0

  • 0

  • 0

  • 0

  • 0

関連タグ タグをフォローすると最新情報が表示されます
あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

基本情報公開時のサンプル画像
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます

基本情報公開時のサンプル画像