- 2026/09/27 07:10 掲載
メタの「100gのVRグラス」は勝てる?アップル・グーグルらで見えた“次のPC”の条件
「100g」でメタが殴り込み、VRの常識が変わった
米メタ・プラットフォームズは9月23日、年次イベント「Connect 2026」で、新型VRデバイス「」を発表した。2027年春に1,299.99ドル(約20万6,000円)で発売する。ビジネス+ITでも速報したが、重さは約100gと「Meta Quest 3」の約1/5。5Kのmicro-OLEDディスプレイを搭載しながら、大型ストラップをなくした。視線と手の動きで操作し、複数の仮想ディスプレイを並べ、机をキーボードやタッチパッド代わりにもできるという。約100gを実現した仕掛けが、バッテリーとプロセッサーを顔から切り離したことだ。演算装置などをベルトやポケット、かばんに装着する外部パックへ分離した。高性能化するほど重く、熱くなりやすかったVRに対し、「すべてを頭に載せない」という発想で突破を試みた格好だ。
もっと驚くのは、この製品が出てきた会社の決算である。VRやAR、AIグラスなどを抱えるReality Labsの2026年第2四半期売上高は4億3,100万ドル(約683億円)だったのに対し、営業損失は46億1,900万ドル(約7,317億円)に達した。売上高の10倍を超える営業損失である。米証券取引委員会(SEC)への提出資料によれば、それでも同期のReality LabsはAIグラスの販売増によって増収となり、Meta Questの販売減を補ったという。
つまりMeta VR Glassesは単なる「軽いQuest」ではない可能性がある。苦戦する大型ヘッドセットと、急成長するAIグラス。その間を埋める約100gの新デバイス──。競合各社を見ると、メタが今この形に踏み込んだ理由がさらに鮮明になる。
アップル・グーグルら参戦、「次のPC」競争が本格化
「スマートフォンの次」を狙っているのは、もちろんメタだけではない。ただし、各社が提示する答えは驚くほど違う。米アップルのApple Vision Proは、M5チップとR1チップを搭載し、デジタルコンテンツを現実空間へ広げる「空間コンピューター」という立場を貫く。本体重量は750~800gで、これとは別に353gのバッテリーを使う。重さを許容する代わりに、PC級の処理能力や高精細な表示を重視する思想だ。アップルの現行仕様にも、この方向性が鮮明に表れている。
韓国サムスン電子が投入したGalaxy XRは、米グーグル、米クアルコムと共同構築したAndroid XRを採用。GeminiをOSレベルで組み込み、利用者が見ているものや周囲の状況をAIが理解する「AIネイティブ」なヘッドセットを目指した。さらにグーグルは2026年秋、ワービー・パーカーやジェントル・モンスターと組んだAIグラスの投入も予定する。ビジネス+ITでも報じたように、カメラやマイクを通じてGeminiが現実世界を理解する構想だ。
一方、米スナップも9月16日、ARグラス「SPECS」と連携するAIサービス「SPECS Intelligence」を発表した。利用者の目標や予定、習慣を理解し、指示を待つだけでなく必要な情報を先回りして提示するという。スナップは、グラスを単なる表示端末ではなく、常時寄り添うAIコンピューターへ近づけようとしている。
市場そのものも変わり始めた。IDCによれば、2026年第2四半期のXRヘッドセット・グラス出荷のうち、ディスプレイを持たないオーディオグラスが70.3%、ディスプレイグラスが14.3%を占め、従来型ヘッドセットは15.4%だった。メタの市場シェアは68.7%。かつて「VR=大きなヘッドセット」という印象が強かった市場で、主戦場は急速に「眼鏡」へ広がっている。 【次ページ】MetaとXREALが同じ答え?「重い処理はポケットへ」
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