• 2009/05/18 掲載

Linuxサーバ市場の最新動向、増える基幹業務、アプリケーションサーバ用途

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Linuxサーバといえば、Webサーバ、メールサーバといった、いわゆるエッジサーバでの利用が主流というイメージが強い。しかし、仮想化の台頭などによるクライアント環境の変化が、Linuxサーバの適用分野に変化を与えているという。オープンソースソリューションの動向に明るいサイオステクノロジーの工藤憲幸氏に伺った。

Linuxサーバの最新動向

サイオステクノロジー マーケティング企画部 マーケティンググループ 工藤憲幸氏

サイオステクノロジー
マーケティング企画部
マーケティンググループ
工藤憲幸氏

──まずLinuxサーバ市場の現状などを教えてください。

 Linuxに限らず、オープンソース系のシステムやソフトウェアの市場は、やはりWebサーバ、メールサーバでの利用が多いですね。よくApacheが世界中のWebサーバの90%を占めているといわれていますが、エッジ系と呼ばれる部分のシステムには、ApacheとLinuxといった組み合わせが盛んに利用されています。

 インターネットサービスのエッジ部分において、オープンソース系のソフトウェアは、それこそインターネットの歴史とともに歩んできていますので、周辺ソフトウェア、ツール、ナレッジ集積などのアドバンテージが大きいと思います。

──最新の動向としてはいかがでしょうか。何か変化や注目の分野などはありますか?

 Linuxサーバ市場のボリュームゾーンはあまり変わっていませんが、伸びている分野もあります。その1つが、基幹業務のサーバ分野です。次に、ミドルウェアのプラットフォームとしてのLinuxサーバの利用も拡大しています。とくにHA(ハイアベイラビリティ)、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)といった、多数のサーバを利用するような場合、OSにLinuxを使うという選択が増えています。HPCのような高可用な利用用途では商用UNIXの利用度が高かったのですが、最近ではLinuxでもカバーできるようになったので、シェアを伸ばしているようです。

 ただし、そうはいっても基幹業務系など信頼性を要求される分野では、商用UNIXの強さも感じています。これはOSのつくりや設計思想が異なる部分なので、周辺アプリや価格だけでカバーできる問題ではないということでしょう。あと、大量なサーバを動かすという点では、データセンターは昔からLinuxサーバを使っていますね。

 Linuxサーバのサーバ統合や仮想化市場への浸透はまだまだこれからという感じがしますが、多数の商用製品でも採用されている、Xenベースの仮想化ハイパーバイザーとの組み合わせで、Linuxの採用が伸びていくのではと思っています。仮想化でサーバを集約し、外にだせるものをクラウドとして切り離すという流れは、ライセンス面などで使い勝手の良いLinuxサーバを後押ししています。

採用企業側にも大きな変化

──採用する企業側、業界側の変化というのはありますか?

 インターネットがビジネスにこれだけ浸透してくると、サーバを導入する企業の業種・業態、あるいは企業の部門における対応に変化を感じます。昔はLinuxというと特殊なOSで、ソースコードを読めない人は使えないといった誤解もありました。「Linux部隊」というものを作ってサーバ、システムを導入していたわけです。

 それが、現在はLinuxかWindowsかというのは大きな問題にならなくなりました。企業の部署でいえば、かなり前から、Linuxの利用は開発系からネットワーク系に移ってきていますね。つまり、Linuxサーバは、電話とまではいかないまでも、FAX・コピーの複合機のようにコモディティ化しているのかもしれません。最近ではいわゆる情シス部門、さらに管理部、総務部といったところが、導入を検討される姿が目立ちます。

 管理部門といえば、グループウェアの導入を業務効率、通信費削減などの目的で検討することが増えていると思います。このグループウェアとして「サイボウズ」が有名ですが、これはLinuxがインフラとして動いています。

──改めてお伺いしたいのですが、Linuxの強みとは何でしょうか。

 こんな時代ですので、やはり一番わかりやすいのはコストではないでしょうか。先ほど、HPCやHA、あるいはデータセンターでの利用が進んでいるという話をしました。これは、OS自体は無料で入手することができるというオープンソースソフトウェアの特徴も影響していると思います。商用OSの場合、たとえばCALというライセンス料がユーザー数やクライアント数に応じてコストに乗ってくることもあります。Linuxサーバは何百台だろうと、何千人のユーザだろうとあまり関係ありません。

 コストが安いということで逆に信頼性や安定性を容易に確保できる手段に用いられることもあります。有名なところでは、GoogleやYahoo!でも、Linuxが採用されています。彼らの持つ膨大なサーバは高価なサーバではありません。安いサーバを大量に動作させ、常にそのうちの何パーセントかはダウンしている前提でシステムを設計しているといいます。

 もうひとつはメンテナンス性ではないでしょうか。Linuxは設定や運用が万人向けでないという評価があるので意外に思う人がいるかもしれませんが、私は逆に、ソースコードが公開されている点が大きいと思います。いざというときの原因追求と対策が、自分もしくは自社でできるというのは、トータルにみて復旧までの時間やコストを低くすることができます。ソースコードを読めない人には関係ないといわれるかもしれませんが、その場合でも、Linuxやオープンソースコミュニティの存在、ネット上の大量のドキュメントが助けてくれます。商用OSはメーカーがサポートしてくれるかもしれませんが、商用システムの個別の案件ごとの問題は、インターネット上にはあまり情報がなく、検索エンジンでは役に立ちません。その点、オープンソースソフトウェアなら検索エンジンが24時間365日サポートしてくれます(笑)。

Linuxサーバのデメリットを補完するには?

──逆にLinuxサーバの弱点はなんでしょうか。どのような形での利用は避けた方が良いでしょうか?

 メリットの裏返しではありますが、いま述べたような管理を、ある程度は自分でやらなければならない点でしょう。有料で細かいサポートを受けることもできますが、商用OSからLinuxに乗り換えたユーザーさんから、商用OSとオープンソース系OSの違いを、有償のメンテナンスや保守業務を受けてみて、ようやく実感できたという声をよく聞きます。

 ただ、保守作業もシステム管理もLinuxのちょっとしたコマンドを覚えるだけで、自分でできる範囲がかなり広がります。まったくの初心者にはハードルが高いように見えますが、だれかに教わる、セミナーを受ける、といっただけでも最初の学習曲線というか効果は高いものと思っています。エキスパートまでは遠くても日常業務に差し支えない水準まで達することはそう難しいことではありません。

──とはいえ、最初から個人で学ぶことには抵抗もあると思います。何か良い方法はないでしょうか?

 弊社ではオープンソース系のソリューションを手がけていますが、いま述べたような対策、導入支援や保守支援という意味合いも含めて、ハンズオン形式のセミナーを展開しています。

 実際のセミナーではLinuxのインストールから仮想化ソフトのインストールまでを体験するものと、アプリケーション開発のミドルウェア「JBoss」をインストールし、簡単なアプリケーション開発まで体験できる2種類のコースをご用意しています。どちらも初心者向けなので、新卒の方でも参加されることがあります。

 ハンズオンに使用するサーバは富士通製で、CPUはデュアルコア、80GBのハードディスクを搭載したものです。モニタは付属しませんが、必要なOSやソフトウェアもセットで、なんとそのままお持ち帰りいただくことができます。ハンズオンセミナーで、実際に自分でLinuxをインストールし、ネットワーク設定をしたものをサーバごと持ち帰って実際の業務に使うことができます。そのまま自社のサーバに利用したり、いろいろなシステムを検証する自分専用マシンとして活用したり、参加者の目的に合わせて利用していただいるようです。

 受講料もハードウェア(PRIMERGY ECONEL 100 S2)とOS(Red Hat Enterprise Linux 5)の定価ベースの合計164,000円(税別)より安い99,800円(税別)で設定されているので、かなりお得だと思います。

──ユニークなセミナーですね。本日はありがとうございました。

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