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  • 2023/11/20 掲載

Test Base for Microsoft 365とは何か、使ってみてわかった「完全自動化」の利点と課題

山市良のマイクロソフトEYE

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マイクロソフトは2021年11月から、Azureの新しいサービスとして「Microsoft Test Base for Microsoft 365」を一般提供しています。このサービスで何ができるのか、どんなメリットがあるのか、試用してみました。このサービスは有料ですが、最初の6カ月間は800米ドル相当の実行を上限に無料で試用できます。

執筆:フリーライター 山市 良

執筆:フリーライター 山市 良

IT 専門誌、Web 媒体を中心に執筆活動を行っているテクニカルライター。システムインテグレーター、IT 専門誌の編集者、地方の中堅企業のシステム管理者を経て、2008年にフリーランスに。雑誌やWebメディアに多数の記事を寄稿するほか、ITベンダー数社の技術文書 (ホワイトペーパー) の制作やユーザー事例取材なども行う。2008年10月よりMicrosoft MVP - Cloud and Datacenter Management(旧カテゴリ:Hyper-V)を毎年受賞。岩手県花巻市在住。
主な著書・訳書
『インサイドWindows 第7版 上』(訳書、日経BP社、2018年)
『Windows Sysinternals徹底解説 改定新版』(訳書、日経BP社、2017年)
『Windows Server 2016テクノロジ入門 完全版』(日経BP社、2016年)
『Windows Server 2012 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2014年)
『Windows Server 2012テクノロジ入門』(日経BP社、2012年)
『Windows Server仮想化テクノロジ入門』(日経BP社、2011年)
『Windows Server 2008 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2009年)
など

Test Base for Microsoft 365の機能とメリット

 Windows 10登場以降、“サービスとしてのWindows(WaaS)”として提供されるようになったWindowsは、継続的に新バージョン(ビルド)にアップグレードされ、機能拡張が行われてきました。マイクロソフトは下位互換性の確保に努めていますが、レガシな機能や技術、APIの非推奨化や廃止も行われています。

 そのため、新バージョンへのインプレースアップグレード(機能更新プログラム)や新しいアーキテクチャー(Arm64など)のデバイスへの移行など、プラットフォームの依存関係が変更になる場合や、次に予定されているセキュリティ更新プログラム(品質更新プログラム)をインストールする場合でも、ビジネスクリティカルなアプリケーションが期待通りに動作し続けることを事前に検証することは、IT担当者の重要な管理タスクとなります。

 しかし、必要な検証作業を自前で行うには、検証環境を構築、保守するために、コストと時間がかかってしまいます。

 Microsoft Test Base for Microsoft 365(以下、Test Base for Microsoft 365)は、アプリケーションをパッケージ化して、テストシナリオを構成し、マイクロソフトがクラウド上で準備、管理するセキュアな仮想マシン上でテストを自動実行し、その結果と分析情報をレポートするサービスです(画面1)。

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画面1:Azureポータルの「Test Base for Microsoft 365」管理ブレード。テスト用パッケージを作成、実行し、その結果を得ることができる

 自前で検証環境を準備する必要がないため、その分コストを節約できますし、実テスト時間に対する課金(1時間あたり8米ドル、ただし、最初の6カ月は100時間のテストに相当する800米ドル分無料)であるため、テストを実行しない限りコストは発生しません。

 Test Base for Microsoft 365では、Windows 10やWindows 11、Windows Server 2016以降のセキュリティ更新プログラム、Windows 11(2023年9月からインサイダーチャネルのバージョン23H2に対応)へのインプレースアップグレード(機能更新プログラム)、Microsoft 365アプリの次期バージョン(プレビューチャネル)のプレインストールが、ビジネスクリティカルなアプリケーションの互換性やパフォーマンスに影響しないかどうかを検証することができます。

Test Baseを体験、基本項目の設定方法

 Test Base for Microsoft 365では、テストするアプリケーションを含むパッケージを作成し、実行します。パッケージのソースとしては以下の4種類から選べます(画面2)。

 最初の3つはファイルをアップロードします。アップロードする代わりに、Test Base for Microsoft 365を簡単に評価できるTest Baseサンプルアプリケーションを選択することもできます。

  • バイナリ(.exe、.msi、.msixなど)
  • 事前構築済みパッケージ(.zip)
  • Intneアプリパッケージ(.intunewim)
  • WinGetのアプリギャラリー

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画面2:アプリケーションのパッケージをアップロードするか、サンプルまたはWinGetのギャラリーから選択する

 次に「テストの構成」ページでテストの種類を選択します。以下の3つから1つまたは複数選択します(画面3)。ただし、フロー駆動テストはほかのテストと同時実行できません。

すぐに使用可能(Out of Box)テスト ・・・ パッケージのインストール、起動、終了、アンインストールをテストで実行し(インストールした後、起動と終了を30回繰り返し、アンインストール)、Windowsのビルド感で比較できるようにします

機能テスト ・・・ 追加のテスト用PowerShellスクリプトをアップロードするか、組み込みのコードエディターで作成して、テストで実行させます

フロー駆動テスト ・・・ Windows 10からWindows 11へのインプレースアップグレードの影響を包括的に検証するための機能(プレビュー機能)です。ベースラインOSとターゲットOSの両方で、並列テストの結果を比較できます

 「Microsoftアプリのプレインストール」のオン/オフは、32ビットまたは64ビットのMicrosoft 365アプリの「最新チャネル(プレビュー)」バージョンをプレインストールするオプションです。このオプションをオンにした場合、WindowsおよびMicrosoft 365アプリのセキュリティ更新プログラムの影響のテストのみを実行できます。

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画面3:テストの種類を選択する。複雑なテストを実施する場合は、機能テストを追加して、次の画面で機能テスト用のスクリプトをアップロードまたは記述する

 テスト用のスクリプトが自動生成され、「パッケージの編集」ページに編集可能な状態で表示されます。スクリプトの内容を確認し、必要に応じて変更を加え、次のページに移動します。 【次ページ】スクリプト実行の「注意点」とエラー処理

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