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  • 2010/02/04

CSRとは何か?サステナビリティを実現するステークホルダーの利益分配戦略:CIOへのステップアップ財務・戦略講座(6)

JR東日本を例に読み解く

CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)という言葉を最近よく耳にするのではないでしょうか。“企業の社会的責任”といっても漠然としていますが、たとえば、企業が利益を生み出して税金を支払うこともCSRですし、環境問題に対応することもCSRです。つまり、一言に“社会的責任”といっても、その意味するところは非常に広範にわたります。今回はこのCSRとステークホルダー、さらにサステナビリティ(持続可能性)について、「財務・戦略の観点」から、どう位置づけられるのかを考えていきましょう。

フューチャーブリッジパートナーズ 長橋賢吾 編集:編集部 松尾慎司

フューチャーブリッジパートナーズ 長橋賢吾 編集:編集部 松尾慎司

2005年東京大学大学院情報理工学研究科修了。博士(情報理工学)。英国ケンブリッジ大学コンピュータ研究所訪問研究員を経て、2006年日興シティグループ証券にてITサービス・ソフトウェア担当の証券アナリストとして従事したのち、2009年3月にフューチャーブリッジパートナーズ(株)を設立。経営コンサルタントとして、経営の視点から、企業分析、情報システム評価、IR支援等に携わる。アプリックスIPホールディングス(株) 取締役 チーフエコノミスト。共著に『使って学ぶIPv6』(アスキー02年4月初版)、著書に『これならわかるネットワーク』(講談社ブルーバックス、08年5月)、『ネット企業の新技術と戦略がよーくわかる本』(秀和システム、11年9月)。『ビックデータ戦略』(秀和システム、12年3月)、『図解:スマートフォンビジネスモデル』(秀和システム、12年11月)。
ホームページ: http://www.futurebridge.jp

CSRとは?

 企業が利益を追求することは当たり前のことです。ただし、企業が利益追求のみに走りすぎると、そのしわ寄せもあります。代表的な事例は、2001年に破たんした米国エネルギー企業のエンロンです。利益を追求するあまり巨額の不正取引をしたことは今でも記憶に新しいできごとです。さらには、2008年の金融危機も、金融業界が利益追求のためにこぞって、サブプライムローンを組成・販売し、結果として、複数金融機関の破たんという事態に発展しました。

 これによるしわ寄せは、政府による公的資金の投入、あるいは、経営破たんによる従業員の解雇など各方面に及んでいます。すなわち企業は単に利益追求を目指すのではなく、取引先、従業員、株主、政府などの利害関係者(ステークホルダー)に対して、企業がどのような意思を決定するのか、その責任説明が問われることになります。こうしたステークホルダーに対して企業がどのように意思決定するか、これを体系化したものが「CSR」の本質と言えるでしょう。そして、CSRがその目指すところは、かつての江戸時代の近江商人が目指したという、「三方よし:売り手よし、買い手よし、世間よし」、すなわち、ステークホルダー全体の調和が、企業の持続的発展(サステナビリティ)には必要という考え方につながるのです。

CSRと企業戦略

 ここまでCSRを簡単に説明しましたが「なぜ、CSRが財務・戦略と関係するの?」と思われるかもしれません。事実、筆者も以前は同じような印象を持っていました。しかし、近年は企業を取り巻くステークホルダーに対して経済的な付加価値をどのように配分するのか、という視点で見れば、企業戦略・財務が問われる問題だと気付くことができるでしょう。

 まずは、例をあげましょう。CSRの目指すところは、「三方よし」にあると触れましたが、たとえば、ある企業がステークホルダーとしての「株主を重視する戦略」を採用したとします。この場合の具体的な方法としては、「配当金を増やすこと」が考えられます、そして配当金を増やすためには、利益を上げなくてはいけません。そのために、たとえば「従業員の給料を削減」すれば、たしかに、利益増には寄与するでしょう。しかし、給料を削減すれば、従業員のモチベーションが下がってしまうのは明らかです。つまり、ステークホルダー同氏の利害は常に一致するとは限らないのです。これがCSRの難しいところであり、その中でどのようにバランスをとって、企業を持続的な成長へと導いていくのか、これは「企業戦略」の根幹ともいえるでしょう。

>次ページ JR東日本とヤフーのステークホルダーを財務的に比較する

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