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  • 2010/11/30

「マイクロソフトやグーグルができないメールシステムを」巨人に挑む日本のベンチャー、アイマトリックス小島美津夫社長に聞く (2/2)

「プロジェクト ドン・キホーテ」

 このようにメール業界を大きく見ると、内部と外部それぞれに課題があります。そこで、我々は新しいメールシステムとしてメールアプライアンス製品「マトリックスメール」を投入することにしたのです。

──まず「マトリックスメール」の概要についてお教えください。

 「マトリックスメール」は、配送エンジン(MTA:Message Transfer Agent)、ストレージ、Webメールなどを搭載しマルチテナントに対応した統合型メールアプライアンスです。

 我々は技術先行型な会社で、アンチスパム製品の「マトリックススキャン」もMTAをスクラッチで開発しました。ほとんどのアンチスパム製品はオープンソースソフトウェア(OSS)ベースで、1秒間に10~15通のメールしか処理できませんが、我々の製品はその10倍以上の処理能力を持っています。

 「マトリックスメール」も同じです。OSSは一部使っていますが、敢えてOSSの利用を「最小化する」ことにこだわっており、コアなところは自分たちで作っています。これは製品のサポート品質の保証にも大きく寄与しています。これまでの経験を生かし、MTAをゲートウェイに転用するときも各機能をモジュール化して、障害の隔離を徹底し、又、セルフヒーリングの機能を内蔵しています。、たとえば通常、メールキューは1つだけなので失敗したら送受信できませんが、メールのキューも三重化することで確実に送受信できるようにしています。

──ストレージへの負担が大きくなりませんか。

 実は、ストレージシステムも独自に開発しました。どんなサーバシステムでもボトルネックはディスクI/Oです。一般的なOSSが特にそうですが、汎用的な利用を前提に開発されており、それがボトルネックや高コストの原因なるケースがあります。われわれはストレージをメールシステムに特化することで高パフォーマンスを実現しており、容量、耐障害性及びスケーラビリティにおいて、高価な製品に対抗できると考えています。

 また、メールを一元管理するために、「グローバルポリシーマネージャー」というツールも開発しました。これはセキュリティからアーカイブまで、メールシステム全体を1つのUIで統合的に管理するツールです。Webメールのインターフェイスについても、私や社員自身がエンドユーザーの目線で使いやすいWebメールにこだわりました。

──コストをどのようにみているのでしょうか?

 グーグルの魅力を突き詰めると「コスト」(=容量当たりの単価)にあると考えています。先ほどGoogle Appsのメールボックスが25GBと言いましたが、実際にはそこまで使っているユーザーは少ないでしょうが、クラウドを利用する側も提供する側もこのコスト/ディスク容量比がひとつのベンチマークです。「マトリックスメール」はコスト的にも容量的にも、このベンチマークを凌駕できるのではないかと思っています。

 我々は「バカ」なんです(笑)。だからフルスクラッチでメールシステムを開発する。私は本気でマイクロソフトやグーグルにできないものを市場に提供したいと思っています。それがベンチャーの醍醐味じゃないでしょうか。社内では、このプロジェクトを「プロジェクト ドン・キホーテ」と呼んでいます。

──アプライアンス形態で提供される理由についてお教えください。

 確かに欧米ではアプライアンスは下火です。しかし、我々がアプライアンスにこだわる理由の1つはサポートです。アプライアンスならオールインワンで面倒を見られ、安定した動作を保証できます。ただし、クラウドを使用する側は初期導入コストの低いクラウドサービスモデルに魅力を感じ、また提供する側からはそれに応じられるシステムを模索します。

 そこで、今回のメールシステムでは、価格に関しても新しい提案をしたいと考えています。具体的には、年間の使用権を購入していただく仕組みです。たとえば500人のシステムであれば、三重化された高可用性システムが初年度だけ250万、翌年以降は年間125万をお支払いいただくようなイメージです。500人、750人、1000人……といった選択肢を用意して、ユーザーに選んでもらえれば、あとは必要なシステムを用意させていただき、人数が増えればそのまま入れ替えし、アプライアンスの持つオールインワンのメリットを最大限に活用していただけると思います。

──ユーザー数の増減でシステムの変更が必要になった場合はどうなりますか。

 ハードウェアの増減やテナントの再配置で対応できます。技術が進めばハードウェアも進化するわけですが、古いハードウェアと新しいハードウェアを共存させることも可能ですし、ストレージを増やす場合も、システムを止めることなくライブで追加することが可能です。

魅力的な選択肢があれば、ユーザーは変わる

──既存システムからの移行にはとまどわれるユーザーも多いと思います。どのように移行を促していきますか?

 メールはインターネットの黎明期から利用されてきた、非常に“ルーズな仕組み”で動いています。にもかかわらず、クリティカルな用途に使われているツールでもあります。多くの企業では、ビジネス上の重要な案件や個人情報、機密情報の含まれたメールが点在しているわけです。サーバにあればまだ良いですが、各人のPCにしかないものも相当あるはずで、それをどうするのか? ということです。

 既存のシステムにしがみついているのは、それに代わる新しい魅力的な仕組みがないからだと思います。「魅力的」というのは、機能や操作面はもちろんですが、第一にコストだと思います。ビジネスですから、コスト面での魅力があれば、ユーザーは必ず新しい仕組みを利用すると思います。「マトリックスメール」は、その魅力を持っていると自負しています。

(聞き手、構成:松尾 執筆:井上健語)

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